The previous night of the world revolution5~R.D.~
「帝国騎士団との承諾は取り付けてあります。ルティス帝国との国交を深め、貿易を活性化させてください」

直接金を寄越せ、とは言わない。

ルティス帝国との貿易を通じて、ルティス帝国経済を活性化させる。

そうすれば間接的に、ルティス帝国の経済は潤うはずだ。

しかも、しばらくの間は安泰。

数十年は、経済の心配はしなくて良いだろう。

要するに、大口の商売相手を新規開拓することで、金づるを増やそうって腹である。

だから今回俺がここに来たのは、商談の為だ。

ルティス帝国ともっと大規模に貿易しませんか、っていうお誘い。

そんなお誘いは、商人の仕事だ。

その為に、何故俺が来たのか。

理由は簡単。

「勿論、関税については…考えてくれますよね?」

俺は、にっこりと微笑んでそう言った。

俺がここに来たのは、『脅迫』の為。

ルティス帝国と大規模に貿易するに当たって、こちら側に有利なように…こちらがより儲かるように…貿易させろよ、っていう『脅迫』。

「…」

俺の目論見がようやく分かったらしいアシミムは、言葉を失っていた。

こんなことが出来るのは、俺がアシミムとシェルドニア王国の秘密を知っているから。

つまり、アシミムの弱味を握っているからだ。

その弱味を利用しない手はない。

人様の弱味を握り、それを利用して、脅迫し、搾り取るだけ搾り取る。

マフィアの手管である。

ルティス帝国側ばかりが有利な貿易をし、シェルドニア王国が不利な思いをすることになったとしても。

シェルドニア国民は何も言わない。

『白亜の塔』があれば、国民はいくらでも黙らせられる。

女王の承諾さえあれば。

「勿論、承諾してくれますね?アシミム女王陛下」

「…」

アシミムは、じっと俺の目を見つめた。

不利な貿易協定を結べ。それを呑まないのなら、お前らの国家機密を世間にバラす。

俺の渾身の『脅迫』に、アシミムがどのような結論を下すのか…。
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