The previous night of the world revolution5~R.D.~
「あれほど、あれっほど!勝手に王宮の外に出てはいけませんと!口を酸っぱくして何度も申し上げているのに!あなたは何故言うことを聞いてくださらないのですかっ!」

まずは、脱走したことから怒られるらしい。

めちゃくちゃ唾飛んでる。

「いつも、一体何処から脱走していらっしゃるんですか!?」

「…」

「何故黙るのです!?」

…いや、それを言っちゃったら、レスリーに対策されてしまうから。

それは企業秘密ってことで。

「挙げ句、その挙げ句!こんな、何が入ってるかも分からない食べ物を食べて!」

「何が入ってるかも分からないって…。ノンフライ麺とかやくが…」

「火薬!?そんな危険なものを!?」

あっ、なんか誤解を生んでそう。

さては、レスリーも食べたことないな?カップ麺。

「で、殿下が…火薬をお召し上がりに…!」

物凄く誤解を生んでる気がする。

レスリー、青ざめてわなわな震えている。

「今すぐ!今すぐ吐き出してください!さぁ!」

「え、嫌ですよ…。折角美味しかったのに…」

「火薬が!?で、殿下の舌が、おかしな方向に…!」

レスリーの思考も、おかしな方に向かってるよね。

もう指摘しないけど。

「こんなものは、庶民の食べ物です!殿下が召し上がって良いものではありません!」

それは申し訳ないと思ってる。

僕がこのジャンクフードを口にしたことによって、コック長と栄養士は、また頭を抱えることになるのだろうから。

それは素直に申し訳ない。

でも美味しかったから、悔いはない。

「庶民の食べ物と言われても…。でも、美味しかったですし…」

「美味を求めるのではあれば、コック長に仰ってください。殿下の為となれば、国内外問わず、あらゆる珍味を集めて…」

いや、そうじゃないんだよ。

金に物を言わせて、お高い食材に舌鼓を打ちたい訳じゃない。

金を出せば美味しいものが食べられるのは、当たり前じゃないか。

いかにお安く、リーズナブルで美味しい食べ物を、いかに身近に見つけられるか。

大事なのはそこである。

「とにかく!今後、このようなものは決してお召し上がりにならぬよう!」

「はいはい…」

「あと、脱走もいい加減おやめください!良いですね!」

え。

「…」

「殿下っ!」

「…はーい…」

仕方ないので、生返事。

勿論、脱走をやめるつもりはない。

また会いに行く約束をしたのだから。

「全く…。殿下ともあろう方が…」

ぶつぶつ、と文句を言うレスリーである。

こうして、散々レスリーに怒られながらも。

僕は、朝ご飯にカップラーメンという、とんでもない贅沢を楽しんでしまったのだった。

美味しいが、罪深い味だった。
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