The previous night of the world revolution5~R.D.~
「初めまして。マリアンナ・リリア・アルヴァールともうします。お目にかかれて光栄です、殿下」

長ったらしいドレスの裾を持ち上げ、丁寧なお辞儀をする少女。

「…どちら様ですか?」

「今日一日、殿下と逢瀬させて頂くことになりまして」

…つまり、デートしろと?

アルヴァール家のお嬢様と?

アルヴァール家と言えば、帝国騎士団七番隊隊長の家じゃないか。

そんな名門貴族のお嬢様が、わざわざ僕とデートしに来るとは…。

間違いなく、レスリーの差し金である。

とりあえずくっつけてみれば、意外に僕が興味を示すかもしれないと踏んだらしいな。

僕を何だと思ってるんだ。

欲求不満だからって、女だったら何でも良い訳じゃないぞ。

大体、この少女。

どう見ても15~16歳である。

一回りくらい年下の少女と、何を話せば良いのか。

「…何すれば良いんですか?」

「そうですね…。では、王宮の庭園を、ゆっくり散歩でもしませんか?」

ゆっくり散歩って。

お年寄りのデートじゃないんだから…。

しかし、お淑やかなお嬢様は、デートと言えば散歩とお茶、と教え込まれているのだろう。

何の屈託もなく、にこにこと微笑んでいた。

…。

「…分かりましたよ」

面倒なことこの上ないが、これも付き合いだ。
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