The previous night of the world revolution5~R.D.~
その片鱗を目にしたのは、ルルシーと共にアイズのお見舞いに行ったときだった。

「こんにちはー。二人共元気ですか~?」

「あぁ、ルレイア。それにルルシー。よく来てくれたね」

アイズはベッドに身を起こし、読書中だった。

「お前、起き上がって大丈夫なのか?」

心配性のルルシーが、一番にそう尋ねた。

「長時間は無理だけど、少しだけならね。あんまり身体を甘やかす訳にもいかないし」

「無理をするなよ。まだ治ってないんだから。ルレイアじゃないんだから、大人しくしててくれ」

ちょっと。何それ。

異議あり。

「俺じゃないんだからって、何ですか。俺はいつも、大人しく良い子にしてるじゃないですか」

「猪突猛進を人間にしたような奴が、どの口で言ってんだ?」

酷いわルルシー。

俺はこんなに思慮深くて、平和主義者なのに。

決して、ルルシーの仇とあらば、双剣両手に敵陣に飛び込むようなことはしないよ?

ねぇ?

~♪。

「それで、アリューシャの方は?そろそろ退院じゃないのか」

「そうだね。あと一週間くらいで退院出来るみたいだよ」

それは良かった。

しかし、当のアリューシャは、ベッドの上で激しくぶーたれていた。

寝ているのかと思ったら、起きていた。

「…おい、どうしたアリューシャ」

ルルシーが声をかけると、アリューシャは僅かに身動ぎした。

「…アリューシャ、もうここやだ。耐えられん」

ぼそぼそ、とそう呟いた。

えっ。

「マジつれぇ。マジつれぇよここ。刑務所だ」

「…アイズ。どうしたんだよアリューシャは…」

「うーん…。ちょっとね」



俺も入院生活長いから、何となく想像はつくが…。

「傷が痛むのか?」

「そりゃいてーよ!マジ地獄だったからな最初の一週間。もうな、昼寝も出来ないくらい痛かった!」

それは大変だ。

アリューシャが昼寝出来ないなんて、夜になったのに「おやつ」を食べられない俺と同じ。

大事件だよ。

「骨折痛過ぎるわ、マジで…。アリューシャ生まれ変わったらタコになろう…。骨折せずに済む…」

「…」

骨折したくないから、来世はタコになろうって。

珍しい動機だね。

俺は、生まれ変わってもまたルレイアが良いな。

そしてまたルルシーと結婚する。

「タコは良いけど、アリューシャ…。捕まったら食べられちゃうよ?」

「へ?」

「人間は勿論、ウツボやサメ…。タコにも天敵はいるからね」

「えぇ~!?やだ!アリューシャタコやめる!生まれ変わってもまたアリューシャやる!」

「うん、それが良いよ」

来世タコだったら、来世アリューシャに会えなくなっちゃうじゃん。

生まれ変わっても、またアリューシャでいてくれ。

「でも、アリューシャ。三週間もたてば、もう痛みはだいぶ落ち着いているのでは?」

そりゃ、一~二週間は動くのもままならないだろうけど。

そろそろ落ち着いてきたはず。

一週間後には退院って言われてる訳だし。

「痛いのはマシになったけどさ~…」

「…けど?」

「暇!超絶暇!」

あぁ…それは分かる。

俺もルリシヤに刺されて入院してたとき、それはもう暇で暇で仕方なかった。

何より欲求不満が辛い。
< 76 / 627 >

この作品をシェア

pagetop