The previous night of the world revolution5~R.D.~
「やることねぇよ~。つまんねぇよ~!」

「丁度良い機会じゃないか。九九でも覚えたらどうだ?」

と、冷ややかなルルシー。

「やだ!そんなのつまんねぇもん!それにアリューシャ、もう九九覚えたし。ルレ公達がシェルドニアに言ってる間に覚えたし」

え、そうなの?

そういえば掛け算のドリル、満点取ってたもんね。

「ほう。じゃあ7×9は?」

「何それ?」

本当にちゃんと覚えてるのか、一気に怪しくなってきたな。

「全然覚えてないじゃないか!」

「ルル公が悪いんだ!7とか9とか、でっかい数字ばっか言うから!」

すると。

「アリューシャ。私達幹部組とアシュトーリアさんが、それぞれ9個ずつ飴をもらうとしたら、全部で何個飴が要るかな?」

アイズが、アリューシャに尋ねた。

幹部組は6人。加えてアシュトーリアさんを入れると7人。

7人で9個ずつ飴をもらうとしたら…。

「うーん…。62!」

惜しい。

「それだと一人だけ8個になっちゃうね」

「マジ!?じゃあ63」

「正解」

「やったぜ!アリューシャ天才!ほら見ろルル公。アリューシャもやれば出来るんだぞ」

どやぁ、とどや顔のアリューシャ。

「…」

そんなアリューシャを、白い目で見つめるルルシー。

まぁまぁ。文章題の方が得意なタイプなんだよ、アリューシャは。

「あぁ暇~!yourtubeとか観てるけど暇~!飽きる~!」

分かる。

動画って、長時間観てると飽きてくるんだよね。

目も痛くなってくるし。

「アイズみたいに本を読むのは?」

「漫画持ってきてもらったけど…。読んでたら目ぇ疲れんだもん」

アリューシャは、元々文字を読むのが苦手だからね。

漫画でも、読んでたら辛くなってくるのだろう。

「我が儘な奴だな…」

「ルル公には分からねぇんだ。この苦しみが!暇なだけじゃねぇ。もっと辛いことがあるんだよ!」

「もっと辛いこと…?」

「食いもんが、くっそ不味い!」

「…」

入院あるある。

病院食が不味い。

その気持ち、俺も分かる。

病院食って、本当に病院によって天と地の差があるよね。

美味しいところは美味しいんだけど、不味いところはマジで食べられないくらい不味いって。

不味過ぎて食べられなくて、むしろ別の病気になりそう。

「路地裏でゴキブリしてた頃の方が、まだ美味いもん食ってた気がするぜ」

「あぁ…そう」

「だって野菜!野菜めっちゃ出るんだぜ!?グリンピースとかほーれんそーとか!人間の食いもんじゃないぞ」

全国のグリンピース好きとほうれん草好き、激怒。

「挙げ句、ピーマンまで出やがった!何?この病院。アリューシャを治したいの?殺したいの?どっち?」

「…知らねぇよ…」

全国のピーマン好きも激怒。

アリューシャは野菜苦手だもんね。

未だに、カレーに入ってる野菜と、ルルシーやルリシヤの作った野菜料理しか食べられない。

そんなアリューシャにとって、基本薄味、野菜もりもりの病院食は、確かに辛いかもしれない。

俺でさえ、病院食は辛かったもんなぁ。味気なくて。
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