わたしを「殺した」のは、鬼でした
「千早様……ちはや、さま……」

 炎が壁を食らい、部屋の中までその舌をのぞかせていた。
 黒い煙を立てる赤い炎に、わたしは咳き込みながら少しでも遠くに逃げようと後退る。
 室内の温度が上昇していき、息をするのも苦しくなった。

 もう、だめかもしれない――
 涙で視界が霞んで、わたしはきゅっと唇をかみしめる。

 ……死にたく、ない……!

 こんなところで終わりたくない。
 誰か、と声を上げようとして、助けを求めたところで誰も来ないと思いなおす。
 誰かに助けを求めるのではなく、自分でどうにかしなくては、わたしはもう間もなく炎に焼かれて死ぬだろう。
 死が目前に迫り、わたしはきつく目を閉じで願った。

 ――千早様に、会いたい。



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