わたしを「殺した」のは、鬼でした
「今日はお着物にしたけれど、帝都では西のお国のお洋服というものが流行っているんですって。残念なことに里では売られていないけど、こんどこっそり千早に用意させましょう」
「い、いえ! そのっ、着方もわからないですから……!」
「あら、お着物より簡単だって聞いたけど」
「わ! わたしは下女ですからっ」

 このままだと大変なことになりそうだとわたしは慌てて首を横に振った。
 お着物だけでも目が回りそうなのに、これ以上なものなど頂いても困ってしまう。第一、はいから(・・・・)なものがわたしに似合うはずもない。

 けれどわたしの反応など歯牙にもかけない様子で、牡丹様は用意させていたお着物から五着と、それから帯と小物類をお着物の数だけ購入する手はずを整えてしまっていた。

「さあさ、せっかく買ったんだから、どれか袖を通してみましょうよ」

 購入しなかった残りのお着物などを部屋から出させて、牡丹様が弾んだ声で言う。

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