結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
重なるランウェイ
史花は全身を映す鏡の前に立ち、念入りに最終確認をしていた。
今日はこれから優成と出かける予定がある。食料品の買い出しなら何度も一緒に行っているが、改まって外出するのは鍾乳洞へ行ったきり。つまり二度目のデートなのだ。
夕食も外で済ませると聞いているため、今日は前回とは打って変わってワンピースを選んだ。
フレッシュなミモザイエローのロングワンピースは、アースカラーばかり着ていた以前の史花なら絶対に選ばない華やかさがある。どんなレストランでも大丈夫なように、薄手のジャケットも準備している。
子どもの頃以来のワンピースは、誘われた日の仕事帰りにこっそり買ってきた。店員に言われるまま、まるでファッションショーのようにあれこれ試着したのは意外と楽しかった。
(だけど、『史花は俺だけのものだ』って、どういう意味で言ったんだろう。白石さんは嫉妬だって言ってたけど、そんなわけないし……)
史花はこのところずっと、そればかり考えている。
あのとき史花は優成が環と親しげに話しているのを遠巻きに見て、思わず足を止めた。
結婚しても諦めず果敢にアタックする彼女に、いつか優成も心を動かされるのではないか。そう考えて怖くなったのだ。華やかな職業に就く者同士、話は合うだろうし、なにより美男美女でお似合いだ。