結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
ほんの数秒のうちに用件の候補があれこれ浮かぶ。


「福岡便のフライトプランの確認をしたい」


 業務の話だった。優成は真剣な表情を一ミリも崩しもしない。
 やはりというか、あたり前だ。
 エリートと名高い彼が、同僚たちの目が多くある場所でプライベートな話をするわけがないのだから。


「わかりました」


今朝、引継ぎをした直後、彼が機長として搭乗する便のプランを作成したのは史花だ。デジタル署名が入っているため、直接たしかめにきたのだろう。

 オーシャンエアラインではディスパッチャーが運行管理センターへ送信したフライトプランは、ブリーフィングで確認したパイロットがなんの問題もないと判断されればそのまま使用される。しかしときに、こうしてパイロット自らフライトコントロールセンターに足を運んで確認する場合もある。

 優成はタブレットを史花に差し出した。そこにはFSAS24――アジア地上24時間天気図が表示されている。高気圧、低気圧、前線や風などの24時間後の予想天気図を確認できるものだ。


「飛行予定の羽田から福岡付近はおおむね高気圧圏内だが、ここに気圧の谷があるだろう?」
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