ソレが出て来る話を聞かないでください
☆☆☆~小野彩音さんの話~

「ごめんね、お母さんの服汚しちゃって」

近くの公園のベンチに座って、服についたホコリを手で払いましたが、全部は落ち切れませんでした。

「どうせ安物だから大丈夫だって。それより、史也の住所が聞けなかったのが痛いよな」

私の隣に座った悟志が難しそうな顔で言いました。
今度は史也くんの家からなにか情報を聞きだすつもりだったんでしょう。

「もしかしたら出てくるかもしれないよ」
史也くんのことは名前くらいしか知りませんが、そう遠くない場所に暮らしているはずです。

スマホを取り出して検索してみると、思った通り何件かヒットする項目がありました。
これが、そのときの記事です。

【20×△年○月○×日。
●●市の路上で男の子が倒れているのが発見されました。
男の子は地元の中学に通う2年生、梅原史也くん14歳。
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