あなたが運命の番ですか?
プロローグ
「寿々ちゃん、忘れ物!」
私が玄関で靴を履いていると、お母さんが慌てた様子で駆け寄ってくる。
お母さんの手には、催涙スプレーが握られていた。
「……い、いいよ。防犯ブザー持ってるし」
私は通学カバンにぶら下げた防犯ブザーを見せながら、恐る恐る拒否する。
「ダメよ、これも持って行かなきゃ!中学の時よりも、学校まで遠いんだから」
お母さんは、無理やり私に催涙スプレーを握らせる。
私は諦めて、カバンの底に催涙スプレーを忍ばせた。
「抑制剤はちゃんと持った?」
「うん、持ってるよ」
「アルファの子に近づいちゃダメよ?何されるか分からないんだから」
「……うん、分かってるよ」
私は何度も念を押すお母さんから逃げるように、「いってきます」と言って家を出た。
私は駅のホームで電車を待っていると、周囲からジロジロと好奇の視線を向けられていることに気づいた。
「ねぇ、ちょっと、あの子……」
「ほんとだぁ、首輪付けてる」
隣の列に並んでいる女子大生らしき2人組が私のほうをチラチラと見ながら、何やらヒソヒソと話している。
その女子大生たちだけではない。サラリーマンやOL、私と同じ制服を着た高校生たちも、私に対して珍獣でも見るかのような視線を向けてくる。
しかし、私はもう慣れてしまった。
それに私だって、私と同じオメガが近くに居たら、ジロジロと見てしまうだろう。
私が玄関で靴を履いていると、お母さんが慌てた様子で駆け寄ってくる。
お母さんの手には、催涙スプレーが握られていた。
「……い、いいよ。防犯ブザー持ってるし」
私は通学カバンにぶら下げた防犯ブザーを見せながら、恐る恐る拒否する。
「ダメよ、これも持って行かなきゃ!中学の時よりも、学校まで遠いんだから」
お母さんは、無理やり私に催涙スプレーを握らせる。
私は諦めて、カバンの底に催涙スプレーを忍ばせた。
「抑制剤はちゃんと持った?」
「うん、持ってるよ」
「アルファの子に近づいちゃダメよ?何されるか分からないんだから」
「……うん、分かってるよ」
私は何度も念を押すお母さんから逃げるように、「いってきます」と言って家を出た。
私は駅のホームで電車を待っていると、周囲からジロジロと好奇の視線を向けられていることに気づいた。
「ねぇ、ちょっと、あの子……」
「ほんとだぁ、首輪付けてる」
隣の列に並んでいる女子大生らしき2人組が私のほうをチラチラと見ながら、何やらヒソヒソと話している。
その女子大生たちだけではない。サラリーマンやOL、私と同じ制服を着た高校生たちも、私に対して珍獣でも見るかのような視線を向けてくる。
しかし、私はもう慣れてしまった。
それに私だって、私と同じオメガが近くに居たら、ジロジロと見てしまうだろう。