あなたが運命の番ですか?
この世界には、6つの性別が存在する。
まずは、男と女。――これは人間がまだ猿だった頃から存在するもので、雌雄性と呼ばれている。
そして、男と女をさらに分けたものが、アルファ、ベータ、オメガ。――通称・バース性だ。
はるか昔、人類が誕生して間もない頃は、このバース性は存在せず、男と女の2種類しかいなかったという。
しかし、人類の進化の過程で性別はさらに分かれ、バース性という概念が生まれ、日本では明治時代にその概念が定着した。
バース性は、人間にしか存在せず、猿を含めた他の動物はオスとメスの2種類しかいない。
なぜ人間にだけバース性が生まれたのか、そのメカニズムは今でも解明されておらず、「人類の進化」という言葉で片づけられている。
特権階級の性であるアルファは、知能と身体能力が高く、政治家や医者などの社会的地位の高い職業に多い。さらに、アルファの女性は精巣を持っており、他の女性やオメガの男性を妊娠させることができる。
日本では、4%の人間がアルファだと言われている。
ベータは最も人口が多く、日本では95%以上の人間がベータである。知能や身体能力はアルファに劣るが、人類のほとんどがベータのため、良くも悪くも「大衆」と認識されている。
そして、日本には1%もいないと言われているのが、オメガだ。知能や身体能力はベータよりもさらに劣っており数も少ないため、「劣等種」と揶揄されている。
しかし、「妊娠・出産」に特化している性でもあり、オメガ女性は生理痛や妊娠初期症状がほとんどなく、安産という特徴がある。
さらに、オメガ男性は、直腸の奥に子宮があり、とある条件を満たすと妊娠出産ができる。しかし、その代わり男性器が発達しにくく、精子がほとんど作られないそうだ。
そして、私の性別はオメガの女性だ。
人間は皆、生まれた時は自身のバース性が分からない。それが分かるのは第二次性徴が始まる10歳頃で、日本では10歳になると血液検査でバース性を調べる。
私の両親は共にベータであり、ベータのカップルからは高確率でベータの子供が生まれる。だから、私もベータなのだと思っていた。
しかし、診断結果はオメガだった。
私がオメガだと分かった時、お母さんが泣き崩れたのを今でもよく覚えている。
その理由は、オメガの社会的地位の低さが原因だ。
オメガが冷遇されやすい原因は知能や身体能力の低さもあるが、1番は「発情期」だ。
「ヒート」というのは、10代後半から起こるオメガ特有の生理現象で、3ヶ月に1度、1週間程度続く。その症状は、周囲に強いフェロモンをまき散らし、発情と繁殖以外何もできなくなるくらいの脱力感と性欲の増進が身体に現れる。
ヒートは、アルファとの性行為か、抑制剤の服用でしか抑えることができない。しかし、抑えられても24時間経てば、再び症状が現れる。
ヒート時に発生するオメガの発情フェロモンは、近くにいるアルファを誘惑し、理性を失わせる。そのため、外出先でヒートを起こしたオメガに、理性を失ったアルファが襲い掛かってしまう事件も少なくない。
こうした背景から、ヒートによるオメガとアルファのトラブルを防ぐために、オメガの雇用を躊躇う企業が多い。
雇用してくれる職場がないせいで、オメガが就ける仕事は風俗やキャバクラなどの夜の仕事しかないと言われている。皮肉なことに、夜の世界ではその希少価値とヒートの特性故にオメガのほうが優遇されているそうだ。
お母さんは、そんな私の将来と危うい特性を憂いているのだ。
まずは、男と女。――これは人間がまだ猿だった頃から存在するもので、雌雄性と呼ばれている。
そして、男と女をさらに分けたものが、アルファ、ベータ、オメガ。――通称・バース性だ。
はるか昔、人類が誕生して間もない頃は、このバース性は存在せず、男と女の2種類しかいなかったという。
しかし、人類の進化の過程で性別はさらに分かれ、バース性という概念が生まれ、日本では明治時代にその概念が定着した。
バース性は、人間にしか存在せず、猿を含めた他の動物はオスとメスの2種類しかいない。
なぜ人間にだけバース性が生まれたのか、そのメカニズムは今でも解明されておらず、「人類の進化」という言葉で片づけられている。
特権階級の性であるアルファは、知能と身体能力が高く、政治家や医者などの社会的地位の高い職業に多い。さらに、アルファの女性は精巣を持っており、他の女性やオメガの男性を妊娠させることができる。
日本では、4%の人間がアルファだと言われている。
ベータは最も人口が多く、日本では95%以上の人間がベータである。知能や身体能力はアルファに劣るが、人類のほとんどがベータのため、良くも悪くも「大衆」と認識されている。
そして、日本には1%もいないと言われているのが、オメガだ。知能や身体能力はベータよりもさらに劣っており数も少ないため、「劣等種」と揶揄されている。
しかし、「妊娠・出産」に特化している性でもあり、オメガ女性は生理痛や妊娠初期症状がほとんどなく、安産という特徴がある。
さらに、オメガ男性は、直腸の奥に子宮があり、とある条件を満たすと妊娠出産ができる。しかし、その代わり男性器が発達しにくく、精子がほとんど作られないそうだ。
そして、私の性別はオメガの女性だ。
人間は皆、生まれた時は自身のバース性が分からない。それが分かるのは第二次性徴が始まる10歳頃で、日本では10歳になると血液検査でバース性を調べる。
私の両親は共にベータであり、ベータのカップルからは高確率でベータの子供が生まれる。だから、私もベータなのだと思っていた。
しかし、診断結果はオメガだった。
私がオメガだと分かった時、お母さんが泣き崩れたのを今でもよく覚えている。
その理由は、オメガの社会的地位の低さが原因だ。
オメガが冷遇されやすい原因は知能や身体能力の低さもあるが、1番は「発情期」だ。
「ヒート」というのは、10代後半から起こるオメガ特有の生理現象で、3ヶ月に1度、1週間程度続く。その症状は、周囲に強いフェロモンをまき散らし、発情と繁殖以外何もできなくなるくらいの脱力感と性欲の増進が身体に現れる。
ヒートは、アルファとの性行為か、抑制剤の服用でしか抑えることができない。しかし、抑えられても24時間経てば、再び症状が現れる。
ヒート時に発生するオメガの発情フェロモンは、近くにいるアルファを誘惑し、理性を失わせる。そのため、外出先でヒートを起こしたオメガに、理性を失ったアルファが襲い掛かってしまう事件も少なくない。
こうした背景から、ヒートによるオメガとアルファのトラブルを防ぐために、オメガの雇用を躊躇う企業が多い。
雇用してくれる職場がないせいで、オメガが就ける仕事は風俗やキャバクラなどの夜の仕事しかないと言われている。皮肉なことに、夜の世界ではその希少価値とヒートの特性故にオメガのほうが優遇されているそうだ。
お母さんは、そんな私の将来と危うい特性を憂いているのだ。