あなたが運命の番ですか?
その後、私は前園先輩と横並びになって帰路につく。
前園先輩は、車道側を歩いてくれている。
「……ああいうこと、よくあるの?」
猫背の状態の前園先輩は、私のほうを見ずに、顔を正面に向けて視線を少し下げながら尋ねてきた。
「いや、そんなことはないです……。いつもなら、部活ももっと早い時間に終わりますし……、こんなに遅い時間に1人で外にいるのも初めてなので……」
「……そっか」
前園先輩の声は、少し悲しそうだった。
そこから、私の自宅前に着くまでの間、前園先輩との会話はほとんどなかった。
前園先輩は私と歩幅が全然違うからなのか、歩くのが早い。
しかし、前園先輩はチラチラと何度も私のほうを見て、私が小走りになり始めると歩くスピードを緩めてくれた。
「今日はありがとうございました。ハンカチ、洗ってから返しますね」
私の自宅である小さな一軒家の前に着くと、私は前園先輩と向き合って会釈した。
「わざわざ返さなくても大丈夫だよ」
「えっ、でも……」
前園先輩のハンカチは見るからに高価そうだ。流石に返さないわけにはいかない。
「ねぇ、春川さん。来週から、春川さんが部活のある日は、俺が家まで送るよ」
「えぇっ!?」
前園先輩からの突然の提案に、私は再び面食らう。
「また今日みたいなことがあるかもしれないから……。園芸部って、確か水曜日に活動するよね?俺、水曜日は部活が休みだから、園芸部が終わるまで待ってるよ」
「いや、そんな……、悪いですよ。せっかく部活が休みの日に、先輩のことを待たせるなんて……」
「家に帰っても、特にやることないし……。図書室で適当に暇つぶしするよ。今日だって、図書室で本を読んでたし……」
前園先輩は腰を屈めながら、私の目を真っ直ぐ見つめる。
その目は、どこか不安げに見えた。
私のことを心配してくれている?
どうしよう。何て答えればいいのだろう?
前園先輩の厚意を無下にするのは失礼だ。それに、前園先輩と一緒なら夜道も怖くないだろう。
だけど、男の人と、アルファと2人で下校してもいいのだろうか。
でも、前園先輩は私の婚約者だし……。
「……あの、1度お母さんに相談してもいいですか?」
グルグルと考えた結果、私は苦し紛れに答えを出した。
すると、前園先輩は目を丸くさせる。しかし、すぐに優しげな笑みを見せた。
「ああ、うん。全然いいよ」
私は自宅の門扉を開けて、自宅の敷地内へ入る。
チラッと後ろを見ると、前園先輩が私のことをまだ見守っていた。そして、私と目が合うと、ヒラヒラと手を振ってきた。
私はそれに答えて、同じように手を振る。
私が門扉を閉めると、前園先輩は手を振りながら背を向けて、来た道を引き返していった。
前園先輩は、車道側を歩いてくれている。
「……ああいうこと、よくあるの?」
猫背の状態の前園先輩は、私のほうを見ずに、顔を正面に向けて視線を少し下げながら尋ねてきた。
「いや、そんなことはないです……。いつもなら、部活ももっと早い時間に終わりますし……、こんなに遅い時間に1人で外にいるのも初めてなので……」
「……そっか」
前園先輩の声は、少し悲しそうだった。
そこから、私の自宅前に着くまでの間、前園先輩との会話はほとんどなかった。
前園先輩は私と歩幅が全然違うからなのか、歩くのが早い。
しかし、前園先輩はチラチラと何度も私のほうを見て、私が小走りになり始めると歩くスピードを緩めてくれた。
「今日はありがとうございました。ハンカチ、洗ってから返しますね」
私の自宅である小さな一軒家の前に着くと、私は前園先輩と向き合って会釈した。
「わざわざ返さなくても大丈夫だよ」
「えっ、でも……」
前園先輩のハンカチは見るからに高価そうだ。流石に返さないわけにはいかない。
「ねぇ、春川さん。来週から、春川さんが部活のある日は、俺が家まで送るよ」
「えぇっ!?」
前園先輩からの突然の提案に、私は再び面食らう。
「また今日みたいなことがあるかもしれないから……。園芸部って、確か水曜日に活動するよね?俺、水曜日は部活が休みだから、園芸部が終わるまで待ってるよ」
「いや、そんな……、悪いですよ。せっかく部活が休みの日に、先輩のことを待たせるなんて……」
「家に帰っても、特にやることないし……。図書室で適当に暇つぶしするよ。今日だって、図書室で本を読んでたし……」
前園先輩は腰を屈めながら、私の目を真っ直ぐ見つめる。
その目は、どこか不安げに見えた。
私のことを心配してくれている?
どうしよう。何て答えればいいのだろう?
前園先輩の厚意を無下にするのは失礼だ。それに、前園先輩と一緒なら夜道も怖くないだろう。
だけど、男の人と、アルファと2人で下校してもいいのだろうか。
でも、前園先輩は私の婚約者だし……。
「……あの、1度お母さんに相談してもいいですか?」
グルグルと考えた結果、私は苦し紛れに答えを出した。
すると、前園先輩は目を丸くさせる。しかし、すぐに優しげな笑みを見せた。
「ああ、うん。全然いいよ」
私は自宅の門扉を開けて、自宅の敷地内へ入る。
チラッと後ろを見ると、前園先輩が私のことをまだ見守っていた。そして、私と目が合うと、ヒラヒラと手を振ってきた。
私はそれに答えて、同じように手を振る。
私が門扉を閉めると、前園先輩は手を振りながら背を向けて、来た道を引き返していった。