あなたが運命の番ですか?
新しい友達
「じゃあ、昨日出した課題のノート集めるから、みんな教卓の上に提出してくれ。全員が提出できたら、日直に職員室まで運んできてもらいたいんだが、今日の日直は誰だ?」
昼休みを告げるチャイムが鳴る中、数学の先生が尋ねる。
「わ、私です」
私は慌てて手を上げる。
「……あぁ、春川か」
すると、「参ったな」というふうに、先生は襟足を掻く。
クラスメイトたちも、何かを察したように、辺りをキョロキョロと見渡す。
「あっ、先生!私、代わりにやっときます」
すると、クラス委員長の伊藤さんが手を上げた。
「あっ、おお……。じゃあ、伊藤、頼んだぞ」
先生はそう言い残して、教室を後にした。
その後、伊藤さんは教卓の前に立つと、「みんな早くノートを出して」と呼び掛ける。
私は課題ノートを提出する際に、伊藤さんに「ごめんね、私の仕事なのに」と謝罪した。
「いいよいいよ、私委員長だし。春川さんだと、これ運ぶの大変でしょ?」
「あっ……、う、うん……。ありがとう」
私は「気を遣われてしまったな」と思った。
30人分のノートくらいなら、私でも運ぶことができる。
しかし、周りの人たちは私のことをやたら非力だと思っているようだ。
いや、「非力だと思っている」というよりも、「オメガの春川さんに労働させるのは悪い」と考えている節がある。
宝月学園では、全生徒が前期と後期のどちらかで、必ず何かしらの委員会に入らなければならない。
しかし、委員会のメンバーをクラスで決める際、「春川さんは通年委員会に入らなくていいよ」と、担任の先生から言われた。
おそらく、私がオメガだから、先生もクラスメイトも気を遣っているのだろう。
みんな私に優しく接してくれる。だけど、時々腫れ物のように扱われている気分にもなる。
昼休みを告げるチャイムが鳴る中、数学の先生が尋ねる。
「わ、私です」
私は慌てて手を上げる。
「……あぁ、春川か」
すると、「参ったな」というふうに、先生は襟足を掻く。
クラスメイトたちも、何かを察したように、辺りをキョロキョロと見渡す。
「あっ、先生!私、代わりにやっときます」
すると、クラス委員長の伊藤さんが手を上げた。
「あっ、おお……。じゃあ、伊藤、頼んだぞ」
先生はそう言い残して、教室を後にした。
その後、伊藤さんは教卓の前に立つと、「みんな早くノートを出して」と呼び掛ける。
私は課題ノートを提出する際に、伊藤さんに「ごめんね、私の仕事なのに」と謝罪した。
「いいよいいよ、私委員長だし。春川さんだと、これ運ぶの大変でしょ?」
「あっ……、う、うん……。ありがとう」
私は「気を遣われてしまったな」と思った。
30人分のノートくらいなら、私でも運ぶことができる。
しかし、周りの人たちは私のことをやたら非力だと思っているようだ。
いや、「非力だと思っている」というよりも、「オメガの春川さんに労働させるのは悪い」と考えている節がある。
宝月学園では、全生徒が前期と後期のどちらかで、必ず何かしらの委員会に入らなければならない。
しかし、委員会のメンバーをクラスで決める際、「春川さんは通年委員会に入らなくていいよ」と、担任の先生から言われた。
おそらく、私がオメガだから、先生もクラスメイトも気を遣っているのだろう。
みんな私に優しく接してくれる。だけど、時々腫れ物のように扱われている気分にもなる。