涙の向こう側


「先生、砕けた心は、、、治せますか?」

わたしは無表情のまま、その言葉を目の前に座る心療内科医に問い掛けた。

名札に"うえや"と書かれた医師は、まさかのわたしの第一声に驚いたようで、一瞬時が止まったかのように固まり、それから「は、はい。ゆっくり一緒に治していきましょうね。」と言うと、「まずは、」とどうしてそうなったのか、経緯を尋ねようとした。

しかし、その前にわたしは座っていた椅子から立ち上がり、「すみません、大丈夫です。ありがとうございました。」と言うと、診察室から出て、待合室へと移動した。

まともに問診も診察も受けていないが、"うえや"先生は処方箋を出してくれた。

隣の薬局に処方箋を持って行くと、精神安定剤が21日分処方された。

わたしは薬を持って帰宅すると、処方された薬のことを調べた。

処方された精神安定剤は、10代の子にも処方されるような効果の弱い薬だった。

ダメだ。これだけじゃ死ねない。

わたしはそう思い、薬局へ行き、60錠入りの風邪薬を買って来た。

そして、目の前にあるたくさんの薬たちを見つめて思う。

これを全部飲めば、、、楽になれるかなぁ。

わたしはペットボトルの水を持って来ると、目の前にある薬たちを次々と胃へと流し込んでいった。

大量の薬が胃に溜まっていくのを感じる。

次第に具合が悪くなり、吐き気がしてきたが、これを吐き出してはダメだ。

そう思い、わたしは朦朧とする意識の中、床を這って寝室の窓まで行くと、窓を開け身を乗り出した。

そこから、わたしは意識を失った。

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