貴方が結ぶ二重螺旋 ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
オーベルジュだから宿泊のための部屋がある。その一室だ。入ってすぐ左側にお手洗いとバスルームに通じるドアがあり、部屋の奥には大きなベッドがある。
ベッドの前まで連れて来られ、龍耶がにやにやと百合花を見る。
「試してみたかったんだよな」
にやにやと龍耶が笑い、なにを、と百合花は怯える。
「双子ってどこまで一緒なのか、気になるだろ?」
よくないことが起きようとしている。
百合花はばっと振り返った。
ドアの前には倫太郎が立っている。ひょろいとはいえ男性だ、力で叶わないだろうし、外へ逃げることはできなさそうだ。だとしたら。
「大人しくしろ!」
怒声を合図のように、百合花は出口のドアに向かって走った。
突破されまいと倫太郎が身構える。
が、直前で百合花は方向を変えて隣のドアを開けてトイレに入り、内側から鍵をかけた。
「くそ!」
龍耶の声が響き、ドアをどんどんと叩かれる。
百合花は必死でドアノブ押さえた。鍵がかかっているのだから動かないはずだが、怖くて押さえずにいられなかった。
スマホがないから外への連絡手段はいっさいない。
母ですら見分けがつかないのだ、誰ひとりとして百合花とららかが入れ替わったことには気が付かないだろう。
どうかお願い。
百合花は迅を思い浮かべる。
どうか気付いてくれますように。どうか……。
百合花はひたすら祈り、ドアを押さえた。
ベッドの前まで連れて来られ、龍耶がにやにやと百合花を見る。
「試してみたかったんだよな」
にやにやと龍耶が笑い、なにを、と百合花は怯える。
「双子ってどこまで一緒なのか、気になるだろ?」
よくないことが起きようとしている。
百合花はばっと振り返った。
ドアの前には倫太郎が立っている。ひょろいとはいえ男性だ、力で叶わないだろうし、外へ逃げることはできなさそうだ。だとしたら。
「大人しくしろ!」
怒声を合図のように、百合花は出口のドアに向かって走った。
突破されまいと倫太郎が身構える。
が、直前で百合花は方向を変えて隣のドアを開けてトイレに入り、内側から鍵をかけた。
「くそ!」
龍耶の声が響き、ドアをどんどんと叩かれる。
百合花は必死でドアノブ押さえた。鍵がかかっているのだから動かないはずだが、怖くて押さえずにいられなかった。
スマホがないから外への連絡手段はいっさいない。
母ですら見分けがつかないのだ、誰ひとりとして百合花とららかが入れ替わったことには気が付かないだろう。
どうかお願い。
百合花は迅を思い浮かべる。
どうか気付いてくれますように。どうか……。
百合花はひたすら祈り、ドアを押さえた。