貴方が結ぶ二重螺旋 ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
果たして英里子は本当に我が子を愛していたのだろうか。真に愛していたのは『娘を愛する自分』ではないのだろうか。あるいは娘を自分のコピーのように思っていたのか。
正解はわからない。が追及する気にもなれない。
先日は裁判所に彼女等から百合花への接触禁止命令を申請した。スマホに届いた暴言メッセージや録音の数々、破壊された部屋の画像などの虐待の証拠、借金や罪をなすりつけようとした事実、それらは充分に接触禁止を勝ち取る材料になるだろう。
蒔田商事のパワハラ体質は社長に原因があるとして退任を迫られ、啓一は社長の座を退いた。
あの家は今後、衰退の一途をたどるだろう。
六時になると、迅は帰宅の準備を終えて部屋を出る。
ちょうど同じく部屋を出た真哲と行きあい、声をかけられた。
「珍しい、定時退社か。あれから大変だったらしいな」
「そうですね。ですが俺が手間をかけるだけで百合花さんの悪縁が切れるならいくらでも動きますよ」
「ベタ惚れじゃねーか」
「否定はしません」
無表情の迅に、真哲は大袈裟に肩をすくめて見せた。
「ホストは警察に検挙されて、ホストクラブも摘発されたってな」
「売掛を脅しに使って風俗で働くことを強要、職業安定法第63条に違反。売春の斡旋もしていたから売春防止法違反。被害者は多数。警察は捜査が大変そうです」
「お前の理想とする『悪をやっつける弁護士』になれたな」
「まだまだですよ。これから本格的に動きます」
「お? なにするんだ?」
真哲は面白そうに先を促す。
正解はわからない。が追及する気にもなれない。
先日は裁判所に彼女等から百合花への接触禁止命令を申請した。スマホに届いた暴言メッセージや録音の数々、破壊された部屋の画像などの虐待の証拠、借金や罪をなすりつけようとした事実、それらは充分に接触禁止を勝ち取る材料になるだろう。
蒔田商事のパワハラ体質は社長に原因があるとして退任を迫られ、啓一は社長の座を退いた。
あの家は今後、衰退の一途をたどるだろう。
六時になると、迅は帰宅の準備を終えて部屋を出る。
ちょうど同じく部屋を出た真哲と行きあい、声をかけられた。
「珍しい、定時退社か。あれから大変だったらしいな」
「そうですね。ですが俺が手間をかけるだけで百合花さんの悪縁が切れるならいくらでも動きますよ」
「ベタ惚れじゃねーか」
「否定はしません」
無表情の迅に、真哲は大袈裟に肩をすくめて見せた。
「ホストは警察に検挙されて、ホストクラブも摘発されたってな」
「売掛を脅しに使って風俗で働くことを強要、職業安定法第63条に違反。売春の斡旋もしていたから売春防止法違反。被害者は多数。警察は捜査が大変そうです」
「お前の理想とする『悪をやっつける弁護士』になれたな」
「まだまだですよ。これから本格的に動きます」
「お? なにするんだ?」
真哲は面白そうに先を促す。