貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 ららかと母の英里子(えりこ)は今、仲睦まじく一冊の薄いアルバムを見ていた。白い装丁に金文字の入ったそれはお見合いのための写真が収められている。

「お見合いしなきゃいけない男なんてどうせ不細工だと思ってたけどぜんぜんイケメン! ミソラグループの御曹司で弁護士で次男で三十一歳。これだったら会ってもいいわ!」
 ミソラグループは繊維業からスタートして今は飲食や小売店などを多岐に渡って経営している。
 対する蒔田商事は様々な物品の輸出入を扱って成長して来た会社だった。

「私もね、最初はお見合いなんてって思ったけど、この方なら、ららかにふさわしいわ」
 姉を溺愛する母、英里子の声もご機嫌だ。

「だから、ホストの男とは別れるのよ」
「えー?」
 ららかは抗議の声を上げ、エクステで伸ばしたまつ毛にふちどられた目を細める。
「いいじゃない、結婚しても恋人がいるのくらい、今じゃ普通よ」

 絶対普通じゃない。百合花はそう思うが声には出さない。会話に参加する権利などないから。

「駄目よ。せめてこの人の子どもを生んでからになさい」
「子どもなんてほしくないわ。あんなはずれをひいたら嫌だもの」
 ららかは蔑みの視線を百合花に送る。百合花は気付かないふりをして拭き掃除を続ける。

「そうねえ。でも私は運が良かったわ、かわいいららかに恵まれて」
 英里子はそう言ってにこにこと笑う。

 同じ娘なのに、と百合花はため息をつきそうになってこらえる。
 一卵性双生児だから、まさに同じ娘だ。
 なのに母は姉のららかを溺愛し、自分をうとましく思っている。
 父は仕事ばかりで家庭を顧みない。
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