貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 どうしてなのか、百合花にはわからない。
 自分の螺旋はどこかでこんがらかってしまったのだろうか。
 だから父も母も姉も……誰も自分を見てくれないのだろうか。
 ふと顔を上げたときに、ららかと視線がぶつかった。

「なに見てるのよ!」
 ららかに罵声とともににらまれ、百合花はうつむいた。

「いやあね、嫉妬してるのよ。ららかがあんまりに素敵なお相手に恵まれたものだから」
 英里子が愛おし気にららかの頭を撫でる。
 百合花は時計を見てハッとした。

「奥様、そろそろお時間でございます」
 百合花は母を母と呼ぶことを許されていない。だから奥様と呼びかける。
 英里子は百合花に返事をせず、ららかに話しかける。

「私は出かけるけど、買って来てほしいものはある?」
「んー。おいしいスイーツがあれば欲しいかな」
「見つけたら買って来るわね」
 英里子はにこにことららかに言い、ソファから立ち上がる。
 掃除をしている百合花には一瞥をくれることもなかった。



 英里子が家を出てからしばらくしたときだった。
 家のチャイムが鳴って、百合花は慌ててキッチンに向かった。
 インターホンを見ると、黒いスーツを着た男性が赤いバラの花束を持って立っている。
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