貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「私のプレゼントしたネクタイ似合ってる」
「ありがとよ。だけど客の女には内緒な。嫉妬でららかが危ない目に遭うから」
「ふふっ。貧乏な女たちなんて私には敵じゃないけど」
 いちゃつく声を背にして百合花はキッチンへ戻る。コーヒーを淹れ、有名スイーツ店のフィナンシェを添えてお盆に載せて持って行く。

 ふたりは並んでソファに座り、一緒にスマホの動画を見ているところだった。
 百合花に気付いた龍耶が言う。
「こいつ、男のひとりもいなさそうだな」
「当然じゃない」
 ららかが嘲笑を浮かべて答える。

「お前と同じ顔なのに」
「やめてよ!」
 百合花は怒って彼に怒鳴り付ける。

「こいつと同じって言われるの、ほんと嫌! 前も言ったよね! こいつは劣化コピーなんだから!」
「悪い悪い」
 龍耶は機嫌をとるようにららかの腰に手を回す。
 ららかはわざとむくれた顔をして見せる。

「お前のほうが美人なんだからそんな怒るなって」
「だったらこいつのことは無視してよ。」
「わかったよ」
 龍耶の答えにららかは満足し、侮蔑の目を百合花に向ける。
「いっつも辛気臭い顔して。ユリなんて葬式の花じゃない、縁起の悪い名前!」

 ユリの花が葬式に使われるのは花言葉が「威厳」であるからだとか、花が悲しむように下を向いているからだとか諸説あるが、「純粋」「無垢」などの花言葉もあり、結婚式にも使われる。縁起が悪いというのはららかの難癖にすぎない。
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