貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「私、すごく幸せです。こんなに幸せでいいんでしょうか」
 言われた迅はふっと笑う。
 百合花はうっとりとその笑みを見つめる。

「……私、死ぬなら今がいいです」
「死ぬなんて言わないでくれ。俺がもっと幸せにするから」
 百合花はこくん、と頷いてから彼を見た。

 その顎を迅の手がつい、と持ち上げる。
 百合花が目を閉じたそのとき。

 がちゃ、と玄関が開いた。
「おかえりー! 待ってたわ、今日はタルトがおいしくできたのよ!」
 車の音で気付いた春子が現れ、二人の様子に、あ、と顔を硬直させる。

「ごめんなさい、ごゆっくり!」
 慌てて引っ込んで扉を閉める。

「……まったく」
 迅は苦笑するが、百合花は顔を赤らめてうつむく。

「今日は大人しく帰ろうか」
「はい」
 百合花は頷くが、今度は顔を上げられなかった。
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