クールな天才作家は彼女を激愛で溶かしたい
その時小石を踏んだかなんかしてバランスを崩してよろめいたかと思えば、側溝の溝にピンヒールの底がずっぽし刺さってしまう。

嘘だろ!?

転ばなかっただけマシか。

グイっとそのまま足を持ち上げるもびくともしない。

キョロキョロ周りを見てもあまり人通りもなく、いても見ないフリをして行く。

私は仕方なく一度カバンを地面に置いて刺さったヒールを脱ぐと、グイグイと手で引っ張る。

うんとこしょ、どっこいしょ。だ。

抜けん。

えー?
しかもこれ、めっちゃ高かったのにー。
奮発して買ったお気に入りのやつだったのにー。

すると自転車のライトが照らされたかと思えば、物凄いスピードで近づいてきてなんと地面に置いていたカバンを引ったくられた。

やばい!

中には見本と原稿が入ってる。

私はもう片方のヒールも脱ぎ捨てスカートが捲り上がるのも気にせず全速力で自転車を追いかけた。

これでも、中、高は短距離走をしていてめっちゃ足は速いのだ。

そして裸足のまま無言で追いかけ、なんとか追いついてカバンをグイっと引っ張れば、自転車の男はひっくり返った。
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