君を思うと、胸がぎゅっと痛くて
アキ先生は頭をぐしゃっとした。

「とは言ったが、こんなちっさい頭で考えすぎんな」

「やめてください〜〜」

「頭まで悪くなったら大変だ」

「ひどい」

「ほら、メシ行くぞ。カバンと薬持ってこい」

先生はおもむろに私の手を握った。
ぬくもりに包み込まれると、大きな安心感とともにまたどうしようもなく愛おしさが押し寄せた。

そのまま、家の近くのファミレスに入る。
アキ先生と二人でご飯食べるとか変な感じすぎる。
先生は気にせずラーメン食べてるけど。
私はうどん。汁は残せとしつこく言われた。

「ところで次はどこ行く?」

「え……?」

「俺の休みにはさゆの好きなとこ連れて行ってやる。まぁその都度診察して、調子がいい場合に限るが。悪い時は病院に強制連行する」

「いいよ、先生。今日だって眠そうだったし」

「今のさゆは視野が狭い。そんなんじゃいつか潰れる。だから俺が連れ出してやる。こんなつまんない場所で満足すんな」

俺の言うことを聞けないのか、という無言の圧力がすごい。

「ほんとにいいの?」

「会いに来たんだ。俺から。さゆが言い始めて、俺が決めたことだ」

「うんっ。あのね。私、嬉しい。アキ先生と色々行きたい。私の知らない場所へ連れてって」

「うん。それでいい」

アキ先生は久しぶりに心から笑った。
私も、それがすごく嬉しくて一緒に笑っていた。
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