君を思うと、胸がぎゅっと痛くて
5. ずるいよ
先生とのランドの次の日。
学校はサボったけど、家に帰ってきていたお母さんにはバレてなくて。疲れもお腹の痛みもいつもよりは楽で、きっとアキと一緒の時間を過ごせたからだと思う。

というわけで、普通に今日は学校に行こうと準備する。
玄関を開けると、最近では珍しく晴れていた。

「うす」

「わ、奏。どうしたの?」

「そろそろ出てくると思って。一緒に学校行こうぜ」

家の庭のベンチで本を読んでいた奏。
昔はたまにこう言うことがあったけど、最近は珍しかった。

「良いけど」

「元気そうでよかった」

「ん?」

「昨日はアキ先生とランド行ってたんだろ」

「なんで知ってるの?」

「風の噂。で、はいっ」

奏が手を差し出してくる。

「何よ、これ」

「ほれほれ。受けとってやるから」

手をヒラヒラさせて早く寄越せって感じ。
当たり前の態度がむかつくー。

「たまたまお金が余ったから、少しだけね!」

マスコットと、お菓子の袋。
実はこっそり陽菜とも私ともお揃い。

「かわいいじゃん。でもどうせ陽菜にも同じの買ってるんだろ」

「ん……まぁね」

なんだコイツー!
なんでお土産がバレバレなんだ。

「俺だけのやつはないの?」

奏が顔を近づけてくる。
不意に顔を逸らしてしまう。

「知らない」

「あ、それはある顔だな」

「降参。ほんとに急に決まったからそれだけなのごめん」

「わ、すまん。そうだったのか。よかったらさ二人で放課後どっかいこ。そろそろフィールドワークのことも決めたいしさ」

「まぁ、宿題はやらないとだし。いいけど」

ほら、行くぞと奏は立ち上がった。
あれ、また背が高くなったみたい。
なんで、たったそれだけの事で泣きそうになるの?

昨日のアキの言葉を思い出す。
奏の心臓のことーー
私、絶対にそんな未来にはさせないから。
二人で学校に向けて歩き出す。
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