君を思うと、胸がぎゅっと痛くて
あっという間に放課後に。
今日は先に奏と約束していたので、陽菜のクラスに一緒に帰れないことを謝りに行くことにした。

「陽菜、ごめん。今日は奏と二人で帰ることになった」

「ううん。全然いいよ」

と言いながら、足元を見つめてモジモジする陽菜。

「どうしたの」

「いや……さゆに彼氏ができたら毎日こんな感じなのかなぁって」

「はぁ? そんな訳ないじゃん。今日は奏が先に約束してたからで。私は陽菜のこと、ちゃんと大事だよ」

「そーお?」

私は細くて小さな陽菜の手を握って言った。

「あったかい」

「そうだよ。陽菜は私の大事な親友だから。ずっと変わらない永久特別枠」

「ふふっ」

陽菜はちょっとだけ複雑そうに笑った。

「ならいいよ! 今日だけね」

「うん、今日だけ」

「明日には梅雨明けするみたいだから。そしたら陽菜も大丈夫になるから。3人でも夏休み、遊ぼうね」

「そうだね。奏にも話しとく」

「うんっ」

そしたらじゃあねって陽菜は帰る。
陽菜との時間も沢山作りたいけれど、私は今できるだけ奏とも向き合いたかった。
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