婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語
商店街を抜けて、大通りのバス停でバスを待つ。いつもの帰り道。でも今日は、ちょっとだけ寄り道。
マンションに直行するはずだったのに、あの一言が引っかかって。実家を出る間際、父さまがぽろっと言ったこと。
『大和君、悠士君と烏丸家のご両親にお礼を言いなさい。彼らは君を守ってくれたからね』
……、は? 何それ。
“守ってくれた”って、何から? どうして? そのあたり、まるっと説明なし。
聞きゃあよかったんだろうけど、正直、あの空気に耐えられなかった。
何を知ってるのかは、父さま、大和、烏丸家の面々。で──知らされてないのが、ど真ん中にいたはずの私?
冗談じゃないよ。
自分のことなのに、蚊帳の外。
アラサー目前の女が、自分の話を“あとから聞かされる”ってどういう了見?
腹立つったらありゃしない。
誰にって、父さま、大和、烏丸家──全員、だ。
誰が仕切ったのか知らないけどさ、
こっちを“部外者扱い”した時点で、そりゃあもう……、お察しってもんよ。
おかげで胸がざわざわして、落ち着かない。
で、気づいたら足が勝手に、おじいちゃまのところへ向いてた。
バスが停まり、降りて商店街の花屋で花を買う。それから、またバス停の方へ引き返す。
地下鉄の駅の裏手。その奥には、いつものお寺。おじいちゃまが眠る場所。
このお寺は、江戸の昔、遊郭の遊女たちを弔った投げ込み寺。そういう縁のある、ちょっと物悲しくて、でも誠実な場所。
本堂の裏手に、おじいちゃまのお墓がある。
雑草を抜いて、落ち葉を払って、買ってきた花を供えた。寺務所で手に入れた線香に火をつけ、静かに手を合わせる。
ここだけは、日光街道や明治通りの喧騒も届かない。しんとした空気が、心に沁みる。
──おじいちゃま。
また、愚痴をこぼしに来ちゃったよ。
あのとき、起業して報告に行ったときの笑顔今でも、ちゃんと覚えてる。
マンションに直行するはずだったのに、あの一言が引っかかって。実家を出る間際、父さまがぽろっと言ったこと。
『大和君、悠士君と烏丸家のご両親にお礼を言いなさい。彼らは君を守ってくれたからね』
……、は? 何それ。
“守ってくれた”って、何から? どうして? そのあたり、まるっと説明なし。
聞きゃあよかったんだろうけど、正直、あの空気に耐えられなかった。
何を知ってるのかは、父さま、大和、烏丸家の面々。で──知らされてないのが、ど真ん中にいたはずの私?
冗談じゃないよ。
自分のことなのに、蚊帳の外。
アラサー目前の女が、自分の話を“あとから聞かされる”ってどういう了見?
腹立つったらありゃしない。
誰にって、父さま、大和、烏丸家──全員、だ。
誰が仕切ったのか知らないけどさ、
こっちを“部外者扱い”した時点で、そりゃあもう……、お察しってもんよ。
おかげで胸がざわざわして、落ち着かない。
で、気づいたら足が勝手に、おじいちゃまのところへ向いてた。
バスが停まり、降りて商店街の花屋で花を買う。それから、またバス停の方へ引き返す。
地下鉄の駅の裏手。その奥には、いつものお寺。おじいちゃまが眠る場所。
このお寺は、江戸の昔、遊郭の遊女たちを弔った投げ込み寺。そういう縁のある、ちょっと物悲しくて、でも誠実な場所。
本堂の裏手に、おじいちゃまのお墓がある。
雑草を抜いて、落ち葉を払って、買ってきた花を供えた。寺務所で手に入れた線香に火をつけ、静かに手を合わせる。
ここだけは、日光街道や明治通りの喧騒も届かない。しんとした空気が、心に沁みる。
──おじいちゃま。
また、愚痴をこぼしに来ちゃったよ。
あのとき、起業して報告に行ったときの笑顔今でも、ちゃんと覚えてる。