色褪せぬ恋のポラロイド

一通りの家事が終わると、家政婦たちはそれぞれで昼食を済ませ、昼食が要らないと言う慧吾様には珈琲だけをお淹れした。

そして、わたしが自分の部屋でベッドに腰を掛け読書をしていると、ドアをノックする音が聞こえ「はい。」と返事をするとドアが開き、慧吾様が顔を覗かせた。

「鈴、ちょっといい?」

そう言って、部屋へ入って来る慧吾様。

わたしは本を閉じると、「どうなさったんですか?」と訊いた。

慧吾様はこちらに歩み寄って来ると、わたしの隣に腰を掛けたのだが、あまりに距離が近く、照れてしまう自分がいた。

「まだ昨日の返事聞いてなかったから。」
「昨日の返事?」
「ほら、俺の嫁になるかって話。」
「え、、、あれは本気だったんですか?!」

わたしが驚き、そう言うと慧吾様は不服そうな表情で「冗談で嫁になるか?なんて言わないよ。」と言った。

「だ、だって、、、お酒も入っていたし、、、」
「だから、シャンパン2杯じゃ酔わないって。」
「でも、わたし、、、慧吾様より8つも年上なんですよ?!」
「知ってるよ?」
「それに、わたしはただの家政婦です、、、」
「俺はただの写真家。」
「慧吾様は、神城家のご次男じゃないですか!わたしとは、不釣り合い過ぎます、、、」

わたしが戸惑いながらそう言うと、慧吾様はゴロンと寝転び、昨日のようにわたしの膝に頭を置くと、わたしを見上げ、真剣な表情で「じゃあ、どうしたら俺の嫁になってくれる?」と言った。

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