色褪せぬ恋のポラロイド
次の日、神城家はホテルに宿泊して不在だった為、家政婦たちはいつもより少し遅めの起床をし、家事を始めた。
旦那様からは、この日は夕食の準備だけで良いと言われており、家政婦たちは自由時間が増えて喜んでいた。
わたしはいつものように洗い終わったベッドシーツを洗濯カゴに入れ、それを持って裏口から出ると、物干し竿に1枚1枚干していく。
すると、カシャッという音が聞こえ、「えっ?」と音がした方を向いた。
そこには、わたしにカメラを向ける慧吾様の姿があったのだ。
「慧吾様!」
「おはよう。鈴、俺を置いて先に帰るなんて、酷いじゃんか。」
慧吾様はそう言うとカメラを下げ、こちらに近付いて来た。
「そ、そんなぁ、わたしが慧吾様の部屋に一緒に泊まれるわけないじゃないですか。」
「何で?ダブルベッドだったから、問題ないでしょ?」
「そうゆうことじゃなくて、、、というか今、勝手に撮りましたね?」
わたしがそう言うと、慧吾様はカメラに視線を落とし、「だって、鈴がシーツ干してる姿、好きだから。」と言い訳をした。
「ただシーツを干してるだけですよ?」
「うん、でも小さい頃から好きなんだ。鈴が白いシーツを背伸びをしながら干してるとこ。」
「そういえば、、、よく見てましたよね。旦那様から貰ったポラロイドカメラで隠し撮りしてたの、知ってるんですよ?」
「あれ?バレてたの?」
そう言いながら、慧吾様は笑うと「鈴を見てると、撮りたくなるんだよ。」と優しく穏やかな表情で言い、その表情にわたしはドキッとしてしまった。