色褪せぬ恋のポラロイド

慧吾様は、わたしの手からポラロイド写真を取ると、その写真を見つめながら、自分の想いを語り始めた。

「俺は、昔から出来損ないで、何に関しても兄さんには勝てなかった。だから、父さんがまだ社長だった頃、後継者にするのは兄さんなんだって子どもながらに気付いてた。俺は、何かで兄さんに勝ちたかったんだ。じゃないと、、、胸張って鈴にプロポーズ出来ないと思ったから。」
「えっ、、、?」
「気付いてなかった?兄さんも鈴のことが好きなんだよ?」
「えっ!そ、そんなわけ、、、!」

わたしが驚き、赤面すると、慧吾様は笑いながら「本当に鈴は鈍いなぁ。」と言った。

「だから、次期社長の兄さんに鈴を取られたくなくて、、、俺は、趣味だった写真を仕事にして、写真で稼げるようになってやる!って、留学を決めたんだ。いつか、、、鈴にプロポーズ出来るようになる為に。」
「慧吾様、、、。」
「カナダの方では少し名が知られるようになってきて、写真展も開けるようになったから、帰国した。そして、鈴にプロポーズしようって、心に決めてきたんだ。」

慧吾様はそう言うと、わたしの方を向き、わたしの手を取って握りしめた。

わたしは慧吾様の手の温かさにドキッとし、恥ずかしくて真っ直ぐに慧吾様を見ることが出来なかった。

「俺の気持ちばかりで、押しつけて悪かった。これからは、俺を神城家の次男としてじゃなく、一人の男として見てくれないか?それから、、、また鈴の答えを聞くよ。」

慧吾様の真剣な言葉にわたしはゆっくり顔を上げると、「分かりました。」と答えた。

すると、慧吾様は照れ笑いを浮かべ「ありがとう。」と言って微笑んだ。

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