色褪せぬ恋のポラロイド
あの日から、わたしは変に慧吾様を意識してしまうようになった。
食事を出す時、ふとした時に目が合った時、廊下ですれ違った時、、、
色んな瞬間でドキッとしてしまう。
そんな慧吾様の方は何事もなかったように接して来ては、わたしが白いベッドシーツを干してる時に、玄関外の階段に座り、こちらを眺めるように見てきて、気になってた仕方がない。
そんなある日の朝食の時間の事だった。
「真吾、そういえばお前に話がある。」
そう言ったのは、旦那様。
真吾様はコップに入った水を飲むと「何ですか?」と言った。
「お前も、もう25だ。後継ぎの事もあるし、そろそろ結婚とか考える時期だろ。見合い相手に紹介したいお嬢さんがいるんだが。」
旦那様がそう言うと、真吾様は塩鮭を口に運び、冷静な口調で「その必要はありません。」と言った。
「あら、真吾。既に決まったお嬢さんがいらっしゃるの?」
奥様が嬉しそうにそう言うと、真吾様は白米の最後の一口を食べ、食事を終えると「妻にしたいと思っている女性ならいます。」と答えた。
真吾様が食事を終えたので、わたしはオボンを持ち、食器をさげようとした。
すると、真吾様は「妻にするなら、鈴が良いと前々から思っていました。」と言ったのだ。
その瞬間、旦那様と奥様が声を揃えて「「え!鈴?!」」と驚き、わたし自身も自分の名前を出された事に驚きと恥ずかしさで、食器をさげようとした手を止めてしまった。