色褪せぬ恋のポラロイド

「鈴、その着物、、、」
「あ、、、奥様にお借りしたんです。今日は慧吾様のお誕生日パーティーがあるので。」

わたしがそう言うと、慧吾様は優しく微笑み「綺麗だ。」と囁くように言った。

慧吾様は寝起きで無造作に散る寝癖だらけの髪型でも、整った顔立ちのせいか爽やかだった。

そんな慧吾様の微笑みにドキッとしてしまったわたしは照れ笑いを浮かべると、「では、髪を結って、お化粧もしないといけないので、失礼致しますね。」と言い、慧吾様に軽く会釈すると、わたしは自分の部屋へと戻った。

わたしは自分の部屋の鏡の前に立つと、髪をお団子に纏め、薄化粧をした。

変じゃないかなぁ?

何度も着物や髪、化粧を確認しては、神城家の家政婦として恥のないように気をつけようとした。

そして、いざ慧吾様のお誕生日パーティーへ。

神城家一族はリムジンで、静恵さんとわたしはタクシーでホテル会場へと向かった。

着いたホテルは一流高級ホテル。
さすが、神城家のご次男のお誕生日パーティーだ。

パーティー会場には、有名な会社の会長や社長、ご夫人たちがいらっしゃっていて、静恵さんとわたしはホテルのスタッフの方たちの手伝いをした。

パーティーが始まると、ステージ上には慧吾様と旦那様が立ち、慧吾様はご立派にご挨拶をされていた。

そして、その時に慧吾様の写真展が開催されることが発表された。

「慧吾様、凄い。」

わたしは思わず、一瞬仕事を忘れ、皆さんと一緒に拍手をしていた。

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