Music of Frontier
初の単独ライブ、ラジオ放送、そして先日の写真集発売。
音楽活動が順調に軌道に乗ってきた『frontier』は、もう副業をしなくても充分食べていけるだけの収入を得られるようになった。
俺としては、それでも予備校講師を続けたい気持ちはあったのだが…。
残念ながら、音楽活動が軌道に乗ってくると同時に、副業を続けるだけの時間がなくなってしまった。
その為、俺はこの春、受け持っている生徒達の卒業と同時に、予備校をやめることにした。
こちらはやめて、『frontier』の活動に専念する。
これはベーシュさんも同様で、今日は彼女にとっても卒業式なのだ。
それに…こういうことを言うとおこがましいように聞こえるが、俺もベーシュさんも、近頃はちょっとした有名人になってしまった。
yourtubeやネコ動で活動してる音楽グループのメンバーが、予備校で講師をしている…なんてことがもし世間に知られたら。
当然SNSでも騒がれるだろうし、俺達に会いたいが為に、ミーハーな気持ちで予備校に入校してくる生徒も出てくるかもしれない。
そんなことになれば、学校にも、生徒にも大変な迷惑をかける。
それだけは、絶対に避けなければならなかった。
しかし、今年度でやめることにします、と校長に告げると、とても残念がられた。
有り難いことに、俺の授業はかなり評判が良く、生徒の合格実績にも大いに貢献したそうで、是非来年度も受け持って欲しかったようだ。
でも、校長は俺達が音楽活動をしていることを知っていた。
残念そうではあったが、最後には納得してくれて、「音楽活動に腰を入れて頑張って欲しい。応援している」と言ってくれた。
更に、「今度、もし勤め先に困ることがあったら、また戻ってきて欲しい」とも。
大変有り難い申し出に、俺は深く感謝した。
ここで教師やってて良かったなぁ、と思った。
こうして迎えた俺の予備校講師人生最後の日。生徒達は、自分達の卒業式であるにも関わらず、俺やベーシュさんに、花束を送ってくれた。
「先生、音楽活動の方頑張ってくださいね。yourtube観ますね」
「ライブも行きますから!」
「写真集も買いました!」
「皆さん…ありがとうございます」
思わず、涙が出そうになった。
最初の頃は、根掘り葉掘りと質問責めで、この子達一体どうしたものかと思っていたが…。
こんなに立派になってくれて。
あと、写真集は恥ずかしいのであんまり見ないで。
すると。
「…それと先生!一つだけ、先生にアドバイスです」
「…え?アドバイス?何ですか?」
生徒達から、餞別の言葉的な?
と思ったら。
「先生、これから先彼女が出来たら、皆にバレないように気を付けた方が良いですよ!」
「ふぁっ!?」
「そうそう!先生女性ファンが多いから。皆嫉妬しますよ」
「この様子だと、今は彼女いないみたいだから安心だね~」
こ、この子達と来たら。
最後の最後まで…!
「よっ、よっ…余計なお世話ですよ!か、彼女なんて…」
「あっ、先生また顔が真っ赤~」
「こういうところ、本当に可愛いよね~」
な、何が可愛いだ。
「可愛くありません!あなた達こそ、ライブもyourtubeも良いですけどっ…。本業は学生なんだから!節度を守って…一杯勉強するんですよ!」
「えへへ、はーい」
何だ、そのへらへらした返事は。
でも同時に、良いなぁ、と思った。
俺が学生時代にも、こんな教師が一人でもいれば。
もっと…違った学校生活を送れただろうに。
今更言っても…栓なきことではあるが…。
音楽活動が順調に軌道に乗ってきた『frontier』は、もう副業をしなくても充分食べていけるだけの収入を得られるようになった。
俺としては、それでも予備校講師を続けたい気持ちはあったのだが…。
残念ながら、音楽活動が軌道に乗ってくると同時に、副業を続けるだけの時間がなくなってしまった。
その為、俺はこの春、受け持っている生徒達の卒業と同時に、予備校をやめることにした。
こちらはやめて、『frontier』の活動に専念する。
これはベーシュさんも同様で、今日は彼女にとっても卒業式なのだ。
それに…こういうことを言うとおこがましいように聞こえるが、俺もベーシュさんも、近頃はちょっとした有名人になってしまった。
yourtubeやネコ動で活動してる音楽グループのメンバーが、予備校で講師をしている…なんてことがもし世間に知られたら。
当然SNSでも騒がれるだろうし、俺達に会いたいが為に、ミーハーな気持ちで予備校に入校してくる生徒も出てくるかもしれない。
そんなことになれば、学校にも、生徒にも大変な迷惑をかける。
それだけは、絶対に避けなければならなかった。
しかし、今年度でやめることにします、と校長に告げると、とても残念がられた。
有り難いことに、俺の授業はかなり評判が良く、生徒の合格実績にも大いに貢献したそうで、是非来年度も受け持って欲しかったようだ。
でも、校長は俺達が音楽活動をしていることを知っていた。
残念そうではあったが、最後には納得してくれて、「音楽活動に腰を入れて頑張って欲しい。応援している」と言ってくれた。
更に、「今度、もし勤め先に困ることがあったら、また戻ってきて欲しい」とも。
大変有り難い申し出に、俺は深く感謝した。
ここで教師やってて良かったなぁ、と思った。
こうして迎えた俺の予備校講師人生最後の日。生徒達は、自分達の卒業式であるにも関わらず、俺やベーシュさんに、花束を送ってくれた。
「先生、音楽活動の方頑張ってくださいね。yourtube観ますね」
「ライブも行きますから!」
「写真集も買いました!」
「皆さん…ありがとうございます」
思わず、涙が出そうになった。
最初の頃は、根掘り葉掘りと質問責めで、この子達一体どうしたものかと思っていたが…。
こんなに立派になってくれて。
あと、写真集は恥ずかしいのであんまり見ないで。
すると。
「…それと先生!一つだけ、先生にアドバイスです」
「…え?アドバイス?何ですか?」
生徒達から、餞別の言葉的な?
と思ったら。
「先生、これから先彼女が出来たら、皆にバレないように気を付けた方が良いですよ!」
「ふぁっ!?」
「そうそう!先生女性ファンが多いから。皆嫉妬しますよ」
「この様子だと、今は彼女いないみたいだから安心だね~」
こ、この子達と来たら。
最後の最後まで…!
「よっ、よっ…余計なお世話ですよ!か、彼女なんて…」
「あっ、先生また顔が真っ赤~」
「こういうところ、本当に可愛いよね~」
な、何が可愛いだ。
「可愛くありません!あなた達こそ、ライブもyourtubeも良いですけどっ…。本業は学生なんだから!節度を守って…一杯勉強するんですよ!」
「えへへ、はーい」
何だ、そのへらへらした返事は。
でも同時に、良いなぁ、と思った。
俺が学生時代にも、こんな教師が一人でもいれば。
もっと…違った学校生活を送れただろうに。
今更言っても…栓なきことではあるが…。