Music of Frontier

「…ふぉー…」

昨日投稿したばかりの動画を見て、俺は思わず感嘆の溜め息をついた。

『R&B』の協力のもと作成したMVは、自分達で編集していた頃と比べたら、雲泥の差。

再生数の方も、雲泥の差だ。

こうしてプロが編集してくれると、前世ゲジゲジの俺でもちょっとしたイケメンに見えるんだから…。

…動画編集、すげぇ。

アルバムの売れ行きも良く、既にセカンドアルバムの話も出てきている。

更に、先日の写真集の方もだいぶ好調である。

インターネットサイトで自分の名前を検索したところ、「ルトリア キモい」、「ルトリア グロい」などの検索候補はまだ見つからなかった。

あー良かった。

ようやく音楽活動の方に腰を入れ始めたのに、検索候補でそんなボディブローを食らったら、ショックを受けるだけじゃ済まないからな。

そして、これ。

俺は手元にある、分厚い封筒の束を一つ、おもむろに開いてみた。

これを読んでいると…自然と、顔がにまにまとにやけてしまう。

我ながら超気持ち悪い顔をしていることは分かっているが、どうしてもこれだけは仕方ない。

これは『R&B』に届いた、俺への…所謂、ファンレターという奴である。

こんなものもらって、にまにませずにどうしろと言うのだ。

まさか生涯において、ファンレターなるものをもらう日が来るとは。

人生って、分からないなぁ。

「…にゅふふ」

独り暮らしってのは、良いものだね。

気持ち悪い声を出して笑っても、誰にも咎められない。

どれだけキショイ顔でにまにましてても、ぶん殴られる心配はない。

思う存分、にまにまさせてもらう。