Music of Frontier
「ルトリア…。あのな、俺達…何があったのか聞いたんだ」

「…そうですか」

その言葉と、この表情で、二人が何をしに来たのかが分かった。

なんっ…て傲慢なんだろう。

「俺…あのときのこと、今でも物凄く後悔してるんだ。あのとき…ルトリアの味方をしなかったこと…」

「…」

「ルトリアはカンニングなんかする奴じゃないって分かってたのに。先輩達に目をつけられるのが怖くて…ルトリアのこと、無視するようになって…」

「ごめん、本当に。まさかあんなことになるなんて思わなかったんだ。俺達だけでも味方してあげられれば…」

「…味方して…って、味方なんて、する気は全くなかったでしょう?」

何白々しいことを言ってるんだ。

味方なんてする気はなかった癖に。先輩に目をつけられてでも、クラスから浮いてでも、俺の味方をする気があった訳がない。

この…小心者達に。

ルクシーなら、多分、何を敵に回してでも俺の味方をしてくれただろう。

立場が逆なら、俺だってルクシーの味方をするから。

でもこの人達は違う。

所詮…俺と彼らの絆なんて、その程度だったのだ。

今だってそうじゃないか。

「あなた達も聞かれたんでしょう?事件のこと。上司か何かに。事情聴取のとき、あなた方の名前も出しましたからね」

「…あぁ」

「これまで俺のことなんかまるで気を払わなかった癖に、上司に責められて途端に罪悪感に駆られたんでしょう?だから、自己満足の為にこうして俺に謝りに来た」

…卑怯だよね。本当に。

謝れば、俺が許してあげると思ったのか?

後悔していると言えば、俺の気が済むとでも思ったのか?
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