Music of Frontier
俺は死んだように生きていた。中身は死んで、身体だけが生きていた。
でも、もう死んだようなものだった。
俺は生きようとしていなかったから、生きる為に必要なことを、何一つ自分ではしていなかった。
食事はしないわ、睡眠も取らないわ、薬も飲まないわ。
病院スタッフの方も、煩わしかったことだろう。何とも面倒な患者だと思っていることだろう。
毎日、自分じゃ何もしようとしない俺の為に、病院スタッフはあれこれと身の回りの世話をしてくれた。
世話してくれる人はいつでも笑顔で、何の返事もしない俺に、優しく話しかけてくれていた。
でも、俺はその笑顔を偽物だと思い込んでいた。
笑顔の裏で、俺のことを「面倒な患者だ」とか、「こんな奴の世話なんてしたくないのに」とか、「早く死んでしまえば良いのに」とか、そんな風に思ってるに違いないと思っていた。
被害妄想も良いところだが、当時の俺は、本気でそう思っていたのだ。
皆俺のことなんて、大嫌いなのだ。
母のように。父のように。姉のように。
帝国騎士官学校の教官のように。
エミスキーやラトベルや、イーリアのように。
ルームメイトの先輩のように。
皆、皆。
皆、俺のことなんて大嫌いで、早く死ねば良いと思ってるんだ。
だから俺は死ななきゃならない。彼らに迷惑をかけないように。
俺は死ななきゃならない。生きていることを、誰にも望まれてないのだから。
俺は死ななきゃならない。もう二度と、こんな苦しい思いをしたくないから。
…それなのに、俺はまだ生きている。
何で生きてるんだろうか。
こんな死んだように生きてるのに、生きてると言えるのだろうか。
もう放っておいて欲しかった。放っておいてくれれば、誰も世話をしなければ、すぐに死ぬことが出来るのに。
せめてロープとか、カッターナイフでも置いていってくれれば良いのに。それがあれば死ねるから。
それなのに、この部屋には何もなかった。
簡単に死ねるようなものは何も。
それどころか、夜の間は腕を拘束されて、動けないようにされていた。
俺の身体を自由にしたら、自殺すると思ってるのだろう。
実際、俺は拘束されていなかったら、とっくに自殺していたはずだ。
何で自殺させてくれないのだろう。誰にも生きていることを望まれてないのに、何で。
もう、俺は生きていけない。
生きていけないんだ。死にたいんだよ。楽になりたいんだよ、早く。
それなのに、どうしてそれを許してくれないのか。
お願いだから、頼むから、早く俺を殺してくれ。
この絶望の世界から、解放してくれ。
医者が俺の部屋に来る度に、俺はそう言いたかった。そう言おうとした。
でも、言えなかった。
でも、もう死んだようなものだった。
俺は生きようとしていなかったから、生きる為に必要なことを、何一つ自分ではしていなかった。
食事はしないわ、睡眠も取らないわ、薬も飲まないわ。
病院スタッフの方も、煩わしかったことだろう。何とも面倒な患者だと思っていることだろう。
毎日、自分じゃ何もしようとしない俺の為に、病院スタッフはあれこれと身の回りの世話をしてくれた。
世話してくれる人はいつでも笑顔で、何の返事もしない俺に、優しく話しかけてくれていた。
でも、俺はその笑顔を偽物だと思い込んでいた。
笑顔の裏で、俺のことを「面倒な患者だ」とか、「こんな奴の世話なんてしたくないのに」とか、「早く死んでしまえば良いのに」とか、そんな風に思ってるに違いないと思っていた。
被害妄想も良いところだが、当時の俺は、本気でそう思っていたのだ。
皆俺のことなんて、大嫌いなのだ。
母のように。父のように。姉のように。
帝国騎士官学校の教官のように。
エミスキーやラトベルや、イーリアのように。
ルームメイトの先輩のように。
皆、皆。
皆、俺のことなんて大嫌いで、早く死ねば良いと思ってるんだ。
だから俺は死ななきゃならない。彼らに迷惑をかけないように。
俺は死ななきゃならない。生きていることを、誰にも望まれてないのだから。
俺は死ななきゃならない。もう二度と、こんな苦しい思いをしたくないから。
…それなのに、俺はまだ生きている。
何で生きてるんだろうか。
こんな死んだように生きてるのに、生きてると言えるのだろうか。
もう放っておいて欲しかった。放っておいてくれれば、誰も世話をしなければ、すぐに死ぬことが出来るのに。
せめてロープとか、カッターナイフでも置いていってくれれば良いのに。それがあれば死ねるから。
それなのに、この部屋には何もなかった。
簡単に死ねるようなものは何も。
それどころか、夜の間は腕を拘束されて、動けないようにされていた。
俺の身体を自由にしたら、自殺すると思ってるのだろう。
実際、俺は拘束されていなかったら、とっくに自殺していたはずだ。
何で自殺させてくれないのだろう。誰にも生きていることを望まれてないのに、何で。
もう、俺は生きていけない。
生きていけないんだ。死にたいんだよ。楽になりたいんだよ、早く。
それなのに、どうしてそれを許してくれないのか。
お願いだから、頼むから、早く俺を殺してくれ。
この絶望の世界から、解放してくれ。
医者が俺の部屋に来る度に、俺はそう言いたかった。そう言おうとした。
でも、言えなかった。