佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら
佐藤先輩が私の名前を出すと、80人以上の男子か落胆の声を上げた。
「そっちかぁぁぁぁぁ!!!!」
「面倒は起こさないけれども!!!!」
「竜也の妹かよ!!!」
「せっかく可愛い顔面なのに竜也と似てるからか全然女に見えない謎!!!」
「ヤル気が!!!!
俺のヤル気がぁぁぁぁぁ!!!!」
「先生、実は僕、女の子を見る目には自信があります。」
「お前1人も彼女いたことねーだろ!!!」
「1人も彼女がいたことがないということが、僕の女の子を見る目の証明でもあります。
そんな僕が今日初めて、”この子が良い"と思った女の子がもう1人の女の子であります。」
「あ、すみません、私は男バスとか無理。
もしも選ばれても断ろうとしてました。」
私と1年生の頃から同じクラスで、数ヶ月前までは1年生でただ1人のスタメンだった私のストレッチをよく手伝ってくれていた楓(かえで)がそう言うと、男子達はまた残念そうな声を上げ続けた。
そんな中で土屋先生がカラッとした顔で私に笑い掛ける。
「怪我は残念だったな、佐藤。」
佐藤先輩と同じ佐藤という名字の私に土屋先生が続ける。
「顔も髪型も何となく竜也に似てるし、プレーなんて女版竜也で最初の頃は驚かされた。
中学の頃は竜也がよく教えてたんだよな?」
「はい・・・、中学のバスケ部の顧問は柔道をやっていた先生なので外部からのコーチが何人か来ていて。
でもその中にガードの人はいなかったので、佐藤先輩がよく教えてくれました。
私達の中学ではバスケ部は1つだけで男女も別れていなかったので。」
「そうか、今リハビリは?
マネージャーしながらリハビリしてる感じだったよな?
前十字靭帯断裂だと復帰の目安は8ヶ月から9ヶ月くらいか。」
去年の10月に前十字靭帯断裂をした私に土屋先生がそれを聞いてきて、私は必死に笑いながら答えた。
「もう使い物にならないので、今はマネージャー1本です。」
「そんなに悪かったのか・・・?」
「はい、全然ダメでした!!」
明るく笑ったけれど男子達はもう誰も笑っていなかった。
手術をして治して貰ったはずの左膝が、また痛むような気がする。
それにはまた下を向いた時・・・
「晶は女バスから少し離れた方が良い。
女バスだって男子ほどではないけど強い方で部員数も多くスタメン争いも激しい。
その膝を抱えながら皆の姿を見てるのは辛すぎるだろ。」
その通りのことを佐藤先輩が言ってくれ、それには自分でも瞳が揺れたのが分かった。
「おい、竜也、お借りするマネージャーに変に優しくし過ぎるなよ?
やるとしても、そういうのはうちのマネージャーが帰ってきてからにしてくれよ?
お前ら、これから2週間は感謝の気持ちだけでマネージャー達とは接するように。」
佐藤先輩とよく似ている私にやましいことを考える男バス部員なんているはずがないのに、土屋先生は”マネージャー達"と言った。
それには自分の髪の毛をクシャと片手で掴みながら小さく笑った。
もうプレーヤーには戻るつもりがないのに毎月ちゃんと短く切っている自分の髪の毛を・・・。
中学のバスケ部メンバーが多く通っていた美容室の美容師さんが、よく似た顔をしている佐藤先輩と私のことを面白がって、私達を同じような髪型にしているこの髪の毛を。
「あとお前ら、そんなんだから女にモテねーんだぞ?
少しは竜也を見習え、少しは。
竜也は竜也で2週間は妹にまで手出すなよ?」
そんなあり得ないことを言った土屋先生に佐藤先輩は大きく笑った。
「絶対ナイっす!!
ナイというか兄妹だから無理っす!!
俺も無理だし晶だって無理だし!!」
楽しそうに笑っている佐藤先輩が私のことを見た。
「ね?」
心からそう思っているであろう佐藤先輩から”ね?"と言われ、私は頷いた。
頷くことしか出来なかった。
”はい"なんて嘘でも言えなかった・・・。
声を出せる自信が全然なかった。
私は佐藤先輩のことが男子として好きだから・・・。
中学の頃からずっと、私だけは佐藤先輩のことが異性として好きだった・・・。
久しぶりにちゃんと見た気がする佐藤先輩は、やっぱり誰よりも格好良かった・・・。
「そっちかぁぁぁぁぁ!!!!」
「面倒は起こさないけれども!!!!」
「竜也の妹かよ!!!」
「せっかく可愛い顔面なのに竜也と似てるからか全然女に見えない謎!!!」
「ヤル気が!!!!
俺のヤル気がぁぁぁぁぁ!!!!」
「先生、実は僕、女の子を見る目には自信があります。」
「お前1人も彼女いたことねーだろ!!!」
「1人も彼女がいたことがないということが、僕の女の子を見る目の証明でもあります。
そんな僕が今日初めて、”この子が良い"と思った女の子がもう1人の女の子であります。」
「あ、すみません、私は男バスとか無理。
もしも選ばれても断ろうとしてました。」
私と1年生の頃から同じクラスで、数ヶ月前までは1年生でただ1人のスタメンだった私のストレッチをよく手伝ってくれていた楓(かえで)がそう言うと、男子達はまた残念そうな声を上げ続けた。
そんな中で土屋先生がカラッとした顔で私に笑い掛ける。
「怪我は残念だったな、佐藤。」
佐藤先輩と同じ佐藤という名字の私に土屋先生が続ける。
「顔も髪型も何となく竜也に似てるし、プレーなんて女版竜也で最初の頃は驚かされた。
中学の頃は竜也がよく教えてたんだよな?」
「はい・・・、中学のバスケ部の顧問は柔道をやっていた先生なので外部からのコーチが何人か来ていて。
でもその中にガードの人はいなかったので、佐藤先輩がよく教えてくれました。
私達の中学ではバスケ部は1つだけで男女も別れていなかったので。」
「そうか、今リハビリは?
マネージャーしながらリハビリしてる感じだったよな?
前十字靭帯断裂だと復帰の目安は8ヶ月から9ヶ月くらいか。」
去年の10月に前十字靭帯断裂をした私に土屋先生がそれを聞いてきて、私は必死に笑いながら答えた。
「もう使い物にならないので、今はマネージャー1本です。」
「そんなに悪かったのか・・・?」
「はい、全然ダメでした!!」
明るく笑ったけれど男子達はもう誰も笑っていなかった。
手術をして治して貰ったはずの左膝が、また痛むような気がする。
それにはまた下を向いた時・・・
「晶は女バスから少し離れた方が良い。
女バスだって男子ほどではないけど強い方で部員数も多くスタメン争いも激しい。
その膝を抱えながら皆の姿を見てるのは辛すぎるだろ。」
その通りのことを佐藤先輩が言ってくれ、それには自分でも瞳が揺れたのが分かった。
「おい、竜也、お借りするマネージャーに変に優しくし過ぎるなよ?
やるとしても、そういうのはうちのマネージャーが帰ってきてからにしてくれよ?
お前ら、これから2週間は感謝の気持ちだけでマネージャー達とは接するように。」
佐藤先輩とよく似ている私にやましいことを考える男バス部員なんているはずがないのに、土屋先生は”マネージャー達"と言った。
それには自分の髪の毛をクシャと片手で掴みながら小さく笑った。
もうプレーヤーには戻るつもりがないのに毎月ちゃんと短く切っている自分の髪の毛を・・・。
中学のバスケ部メンバーが多く通っていた美容室の美容師さんが、よく似た顔をしている佐藤先輩と私のことを面白がって、私達を同じような髪型にしているこの髪の毛を。
「あとお前ら、そんなんだから女にモテねーんだぞ?
少しは竜也を見習え、少しは。
竜也は竜也で2週間は妹にまで手出すなよ?」
そんなあり得ないことを言った土屋先生に佐藤先輩は大きく笑った。
「絶対ナイっす!!
ナイというか兄妹だから無理っす!!
俺も無理だし晶だって無理だし!!」
楽しそうに笑っている佐藤先輩が私のことを見た。
「ね?」
心からそう思っているであろう佐藤先輩から”ね?"と言われ、私は頷いた。
頷くことしか出来なかった。
”はい"なんて嘘でも言えなかった・・・。
声を出せる自信が全然なかった。
私は佐藤先輩のことが男子として好きだから・・・。
中学の頃からずっと、私だけは佐藤先輩のことが異性として好きだった・・・。
久しぶりにちゃんと見た気がする佐藤先輩は、やっぱり誰よりも格好良かった・・・。