佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら
「あ〜!!晶ちゃん!!」
夜の暗い桜並木の下を、桜の花弁が汚く落ちまくっているのを見下ろしながら歩いていた時、後ろから花音ちゃんに呼ばれた。
振り返ると花音ちゃんが結構ヘトヘトな様子で歩いてくるので、それには心配になりながら花音ちゃんのことを待った。
「花音ちゃんめっちゃ疲れてるね。
幼稚園の先生も大変なんだ。」
「めっちゃ大変だよ〜!!
うちの園でやるおゆうぎ会の準備がさぁぁぁ。
私はリンゴ担当になったんだけど、リンゴを探して三千里、結局見付からないまま今日も家路につきます〜。」
「ああ、おゆうぎ会で使う偽物のリンゴを買う担当になったんだ。
私も偽物のリンゴを見掛けたら買っておくよ。」
「ありがと〜〜〜!!!!
竜也なんて”本物のリンゴで良いじゃん"とか言ってきてさ、”確かに!!"と思って他の先生達に自信満々で言ったら笑いながら却下されたぁぁぁ。
リンゴとか大好きだったのにリンゴに苦しめられる人生になるとは思わなかったよぉぉ。」
トボトボと歩いている花音ちゃんの歩調に合わせながら自然と笑うと、花音ちゃんが上を見上げた。
「ちょっと残ってる桜と葉桜が混じってるの、めっちゃ汚いよね。」
「あ、それ分かるなぁ。」
「だよね!?
帰ったら竜也に言お〜!!
”季節が変わろうとしてる所が綺麗じゃん"とか言っててその言葉だけは勝手に貰っておいたけど、晶ちゃんも私と同じ意見で嬉し〜い。
あ、そういえば今日から男バスのマネージャー?
明日から?」
唐突にそのことを言われ、花音ちゃんらしいその切り替えしにはまた笑ってしまった。
「今日からなんだぁ。
今日土屋先生から部活前に聞いたんだけどね、新1年生の子達にマネージャーっぽい仕事も担当制でして貰う予定だったみたいで。
でも3人くらい他競技から移行してきたバスケ未経験の子がいて、その子達に他の1年生が押し付けようとしてるのを土屋先生が目撃して注意したんだって。
そしたらね・・・、佐藤先輩が押し付けた子達のことを被ったみたいで。
”1年だとしてもみんなバスケをしに来てるのに、マネージャーの仕事を2週間の担当制とはいえやらせるのは可哀想だと思う"って。」
「うん、竜也から聞いた〜!!
で、女バスのマネージャーをお借りする案を出したのは、男バスの元マネージャーの私です〜!!」
「花音ちゃんだったの!?
それは知らなかった!!」
「うん、それで竜也には、男バスのマネージャーに晶ちゃんのことを推薦しなって言っておいた!!
1回女バスから離れさせてあげた方が良いかもって!!」
「え・・・?」
それも初耳で・・・
「バスケ、嫌になっちゃった?」
花音ちゃんの優しい声が汚い桜並木の下でやけに響く。
「中学1年生の頃、ミニバス経験者ばっかりの中、足だけが速い小さな小さな晶ちゃんがバスケ部に入部をしたね。
中学のバスケ部にはマネージャーなんてポジションはなかったから1年生が先輩達のお世話もするのが当たり前で。
1年生の女の子達が晶ちゃんにばっかり雑用を押し付けて、晶ちゃんは先輩達のプレーを見られないだけじゃなく体育館に入る時間もどんどんなくなっていって。」
夜の暗い桜並木の下を、桜の花弁が汚く落ちまくっているのを見下ろしながら歩いていた時、後ろから花音ちゃんに呼ばれた。
振り返ると花音ちゃんが結構ヘトヘトな様子で歩いてくるので、それには心配になりながら花音ちゃんのことを待った。
「花音ちゃんめっちゃ疲れてるね。
幼稚園の先生も大変なんだ。」
「めっちゃ大変だよ〜!!
うちの園でやるおゆうぎ会の準備がさぁぁぁ。
私はリンゴ担当になったんだけど、リンゴを探して三千里、結局見付からないまま今日も家路につきます〜。」
「ああ、おゆうぎ会で使う偽物のリンゴを買う担当になったんだ。
私も偽物のリンゴを見掛けたら買っておくよ。」
「ありがと〜〜〜!!!!
竜也なんて”本物のリンゴで良いじゃん"とか言ってきてさ、”確かに!!"と思って他の先生達に自信満々で言ったら笑いながら却下されたぁぁぁ。
リンゴとか大好きだったのにリンゴに苦しめられる人生になるとは思わなかったよぉぉ。」
トボトボと歩いている花音ちゃんの歩調に合わせながら自然と笑うと、花音ちゃんが上を見上げた。
「ちょっと残ってる桜と葉桜が混じってるの、めっちゃ汚いよね。」
「あ、それ分かるなぁ。」
「だよね!?
帰ったら竜也に言お〜!!
”季節が変わろうとしてる所が綺麗じゃん"とか言っててその言葉だけは勝手に貰っておいたけど、晶ちゃんも私と同じ意見で嬉し〜い。
あ、そういえば今日から男バスのマネージャー?
明日から?」
唐突にそのことを言われ、花音ちゃんらしいその切り替えしにはまた笑ってしまった。
「今日からなんだぁ。
今日土屋先生から部活前に聞いたんだけどね、新1年生の子達にマネージャーっぽい仕事も担当制でして貰う予定だったみたいで。
でも3人くらい他競技から移行してきたバスケ未経験の子がいて、その子達に他の1年生が押し付けようとしてるのを土屋先生が目撃して注意したんだって。
そしたらね・・・、佐藤先輩が押し付けた子達のことを被ったみたいで。
”1年だとしてもみんなバスケをしに来てるのに、マネージャーの仕事を2週間の担当制とはいえやらせるのは可哀想だと思う"って。」
「うん、竜也から聞いた〜!!
で、女バスのマネージャーをお借りする案を出したのは、男バスの元マネージャーの私です〜!!」
「花音ちゃんだったの!?
それは知らなかった!!」
「うん、それで竜也には、男バスのマネージャーに晶ちゃんのことを推薦しなって言っておいた!!
1回女バスから離れさせてあげた方が良いかもって!!」
「え・・・?」
それも初耳で・・・
「バスケ、嫌になっちゃった?」
花音ちゃんの優しい声が汚い桜並木の下でやけに響く。
「中学1年生の頃、ミニバス経験者ばっかりの中、足だけが速い小さな小さな晶ちゃんがバスケ部に入部をしたね。
中学のバスケ部にはマネージャーなんてポジションはなかったから1年生が先輩達のお世話もするのが当たり前で。
1年生の女の子達が晶ちゃんにばっかり雑用を押し付けて、晶ちゃんは先輩達のプレーを見られないだけじゃなく体育館に入る時間もどんどんなくなっていって。」