佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら
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水曜日の部活前
佐藤先輩と私がほぼ他人となってからそろそろ1週間になる。
普通に生活をしていたら佐藤先輩とばったり会うこともなかった。
部活の時に顔を合わせ、みんなと同じように挨拶をして、部活で必要なことがあったら会話をする。
ほぼ他人というよりは、男バスのプレーヤーとマネージャーという関係性だけになった。
1日1日が驚く程に長かった。
やっと1週間が見えてきた。
今日は水曜日、女バスと女バレの休みの日。
だから今日は男バスと男バレが放課後からすぐに練習が出来る日。
男バレのマネージャーよりも先に私が体育館に来たようで、男バスと男バレの間を仕切る為のネットを私が広げていく。
男バスのマネージャーを短期間だけど任された私がつけている、男バス独自の活動日誌を見下しながら。
「やっぱり、シュートの確率が下がってる・・・。」
佐藤先輩のシュートの確率が少しずつだけど下がっていることに今日も悩む。
ネットを広げながら、今度は練習前に自主練をしている何人かの部員の姿を見る。
そこには今日も佐藤先輩がいて、めちゃくちゃ参考にしたいドリブルの後に華麗にジャンプシュートを決めていた。
土屋先生からは何も言われていない。
目に見えている感覚では佐藤先輩のシュートの確率がそこまで下がっているという気はしない。
でも、数字では確実に下がっていて・・・。
"体調の悪さを心配するのはマネージャーとして必要なこと・・・?
でも、普通だったら気付かないレベルのこと・・・?
私が佐藤先輩のことが好きだから気付いてるだけ・・・?”
今日も佐藤先輩に"マネージャー”として話し掛けるか悩んでいた時、シュートをしたボールを拾った佐藤先輩がパッと私のことを見てきた。
いや、見てきたように見えた。
私のことを見たのかは分からない。
それが分かる前に私は今日もすぐに目を逸らしたから。
"どうしよう、辛い・・・。
早く女バスに戻りたい・・・。”
あんなに離れたいと思っていた女バスに戻りたいと思っていた時・・・
「佐藤!!」
男バレのマネージャー、柳瀬君が私の所に走ってきた。
「この前の朝練、大丈夫だった?
あの時になんか佐藤先輩と彼女揉めてなかった?」
「あ・・・うん、でも今は大丈夫だと思う。」
「佐藤先輩、今回の彼女とめっちゃ続いてるね。
妹としても安心したでしょ。」
佐藤先輩と私のことを兄妹として認識していたり、こうやってネタにしてくる人もまだ普通のことだった。
「私、ヒマリさんのことが好きなんだ。」
安心したかどうかの質問にそうやって返し、ネットを最後まで広げていく。
「そうなんだ、でも佐藤先輩って彼女のことが好きなのかな。」
「佐藤先輩って結婚願望が強いんだよね。」
「うん、だから?」
「子どもが欲しいんだって。」
「うん、で?」
「え?おしまい。」
「彼女のことが好きかどうかの質問の答えは?」
ネットを全て広げ終わると、体育館の壁に辿り着いた。
「それを私に聞かれても・・・。
何で知りたいの?」
「どうやったらあんな人になれるのかな〜って。」
「あんな人って?例えばどんな所?」
「ん〜・・・、佐藤って佐藤先輩のことをどこまで知ってる?」
柳瀬君がジッと私のことを見下ろし、それからゆっくりと顔を近付けてきた。
それにはビックリして固まっていると・・・
柳瀬君が私に耳打ちをした。
「ここだけの話、3年の女子の中で佐藤先輩のセックスがめっちゃ良いって話題になってるらしくて。」
「え・・・・?」
「佐藤先輩って高1からスタメンで試合に出てたから、応援に来てた女の先輩達からめっちゃモテたらしいね。
佐藤先輩の口癖が当時、"あ〜、寂しい”だったらしくて、今よりももっと可愛い顔でバスケは天才的、でも素の顔は可愛いで、お姉様からめっちゃ人気で、彼女じゃないお姉様達からもエロいことを教えられてたんじゃないかって噂。
しかも、1対1じゃなくて佐藤先輩1人とお姉様数人でヤりまくってた噂まであるらしいよ。」
私の耳元から口を離した柳瀬君が、また私の顔をジッと見ながら聞いてきた。
「佐藤、知ってた?」
"全然知らなかった。"
それは言葉にはならなかった。
全然声が出てこなくて・・・。
全然、全然、何も考えられなくて・・・。
そんな私のことを柳瀬君がジッと見てくる。
笑顔でだけど、見てくる。
そして、普通な感じで口を開いてきた。
「佐藤と佐藤先輩って別に本当の兄妹じゃないじゃん?
佐藤って佐藤先輩とエロいこととかしたことある?
もしもしたことがあるなら、どんな風にしてるのか男としてめっちゃ知りたい。」
柳瀬君が軽い感じでそう聞いてきた。
だから、”そんなことするわけないじゃん"と、そう言おうとした。
そう言わなきゃダメなのに、その言葉も出てこなくて。
だって、私は佐藤先輩とエッチなことをした。
私も、佐藤先輩にエッチなことをして貰った。
アレは妄想なんかじゃない・・・。
アレは、私の最初で最後になるであろう男の人とのエッチなことで・・・。
好きな人とした、エッチなことで・・・。
佐藤先輩とした、エッチなことで・・・。
「佐藤先輩、どんな感じだった?
本当に上手かった?
あんなに可愛い顔で、セックスの時には結構Sっ気がある所があるって聞いたけど、どうだった?」
そんなことまで聞かれ、それには・・・
それには、思い出してしまった・・・。
この前の佐藤先輩との凄かったことを、次々と思い出してしまって・・・
「顔、真っ赤じゃん。」
柳瀬君がそう言って、私の顔に向かって片手を伸ばしてきた・・・
との、時・・・
柳瀬君よりも白くて小さく見える手、でもちゃんと男子の手に見える手が柳瀬君の手を払った。
「うちのマネージャーに何か用?
そろそろテーピングの時間なんだけど。」
佐藤先輩と私がほぼ他人となってからそろそろ1週間になる。
普通に生活をしていたら佐藤先輩とばったり会うこともなかった。
部活の時に顔を合わせ、みんなと同じように挨拶をして、部活で必要なことがあったら会話をする。
ほぼ他人というよりは、男バスのプレーヤーとマネージャーという関係性だけになった。
1日1日が驚く程に長かった。
やっと1週間が見えてきた。
今日は水曜日、女バスと女バレの休みの日。
だから今日は男バスと男バレが放課後からすぐに練習が出来る日。
男バレのマネージャーよりも先に私が体育館に来たようで、男バスと男バレの間を仕切る為のネットを私が広げていく。
男バスのマネージャーを短期間だけど任された私がつけている、男バス独自の活動日誌を見下しながら。
「やっぱり、シュートの確率が下がってる・・・。」
佐藤先輩のシュートの確率が少しずつだけど下がっていることに今日も悩む。
ネットを広げながら、今度は練習前に自主練をしている何人かの部員の姿を見る。
そこには今日も佐藤先輩がいて、めちゃくちゃ参考にしたいドリブルの後に華麗にジャンプシュートを決めていた。
土屋先生からは何も言われていない。
目に見えている感覚では佐藤先輩のシュートの確率がそこまで下がっているという気はしない。
でも、数字では確実に下がっていて・・・。
"体調の悪さを心配するのはマネージャーとして必要なこと・・・?
でも、普通だったら気付かないレベルのこと・・・?
私が佐藤先輩のことが好きだから気付いてるだけ・・・?”
今日も佐藤先輩に"マネージャー”として話し掛けるか悩んでいた時、シュートをしたボールを拾った佐藤先輩がパッと私のことを見てきた。
いや、見てきたように見えた。
私のことを見たのかは分からない。
それが分かる前に私は今日もすぐに目を逸らしたから。
"どうしよう、辛い・・・。
早く女バスに戻りたい・・・。”
あんなに離れたいと思っていた女バスに戻りたいと思っていた時・・・
「佐藤!!」
男バレのマネージャー、柳瀬君が私の所に走ってきた。
「この前の朝練、大丈夫だった?
あの時になんか佐藤先輩と彼女揉めてなかった?」
「あ・・・うん、でも今は大丈夫だと思う。」
「佐藤先輩、今回の彼女とめっちゃ続いてるね。
妹としても安心したでしょ。」
佐藤先輩と私のことを兄妹として認識していたり、こうやってネタにしてくる人もまだ普通のことだった。
「私、ヒマリさんのことが好きなんだ。」
安心したかどうかの質問にそうやって返し、ネットを最後まで広げていく。
「そうなんだ、でも佐藤先輩って彼女のことが好きなのかな。」
「佐藤先輩って結婚願望が強いんだよね。」
「うん、だから?」
「子どもが欲しいんだって。」
「うん、で?」
「え?おしまい。」
「彼女のことが好きかどうかの質問の答えは?」
ネットを全て広げ終わると、体育館の壁に辿り着いた。
「それを私に聞かれても・・・。
何で知りたいの?」
「どうやったらあんな人になれるのかな〜って。」
「あんな人って?例えばどんな所?」
「ん〜・・・、佐藤って佐藤先輩のことをどこまで知ってる?」
柳瀬君がジッと私のことを見下ろし、それからゆっくりと顔を近付けてきた。
それにはビックリして固まっていると・・・
柳瀬君が私に耳打ちをした。
「ここだけの話、3年の女子の中で佐藤先輩のセックスがめっちゃ良いって話題になってるらしくて。」
「え・・・・?」
「佐藤先輩って高1からスタメンで試合に出てたから、応援に来てた女の先輩達からめっちゃモテたらしいね。
佐藤先輩の口癖が当時、"あ〜、寂しい”だったらしくて、今よりももっと可愛い顔でバスケは天才的、でも素の顔は可愛いで、お姉様からめっちゃ人気で、彼女じゃないお姉様達からもエロいことを教えられてたんじゃないかって噂。
しかも、1対1じゃなくて佐藤先輩1人とお姉様数人でヤりまくってた噂まであるらしいよ。」
私の耳元から口を離した柳瀬君が、また私の顔をジッと見ながら聞いてきた。
「佐藤、知ってた?」
"全然知らなかった。"
それは言葉にはならなかった。
全然声が出てこなくて・・・。
全然、全然、何も考えられなくて・・・。
そんな私のことを柳瀬君がジッと見てくる。
笑顔でだけど、見てくる。
そして、普通な感じで口を開いてきた。
「佐藤と佐藤先輩って別に本当の兄妹じゃないじゃん?
佐藤って佐藤先輩とエロいこととかしたことある?
もしもしたことがあるなら、どんな風にしてるのか男としてめっちゃ知りたい。」
柳瀬君が軽い感じでそう聞いてきた。
だから、”そんなことするわけないじゃん"と、そう言おうとした。
そう言わなきゃダメなのに、その言葉も出てこなくて。
だって、私は佐藤先輩とエッチなことをした。
私も、佐藤先輩にエッチなことをして貰った。
アレは妄想なんかじゃない・・・。
アレは、私の最初で最後になるであろう男の人とのエッチなことで・・・。
好きな人とした、エッチなことで・・・。
佐藤先輩とした、エッチなことで・・・。
「佐藤先輩、どんな感じだった?
本当に上手かった?
あんなに可愛い顔で、セックスの時には結構Sっ気がある所があるって聞いたけど、どうだった?」
そんなことまで聞かれ、それには・・・
それには、思い出してしまった・・・。
この前の佐藤先輩との凄かったことを、次々と思い出してしまって・・・
「顔、真っ赤じゃん。」
柳瀬君がそう言って、私の顔に向かって片手を伸ばしてきた・・・
との、時・・・
柳瀬君よりも白くて小さく見える手、でもちゃんと男子の手に見える手が柳瀬君の手を払った。
「うちのマネージャーに何か用?
そろそろテーピングの時間なんだけど。」