佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら
「妹の方も結構なブラコンか・・・。
もうお前ら、2人でずっと仲良く一緒にいれば良いな!!解決!!
佐藤も彼氏とか作らないで兄貴とずっと一緒にいろ!な!!うん!!」



土屋先生が佐藤先輩の背中をバンバンと叩く。



「だから大丈夫だろっ!!
気持ち切り替えてくぞ!!!」



「でも俺・・・・、晶の子ども・・・抱きたい・・・。」



「うんうん、分かる分かる、子どもは可愛いからな!!
でもそんなことは今考えても仕方ねーから!!な!!」



「いや、考えちゃうって・・・。
晶の胸とかアソコとか、俺以外の男が滅茶苦茶にしてる所とか、考えちゃうって・・・。」



「よっぽど上手い奴じゃねーと滅茶苦茶には出来ねーから大丈夫だって!
・・・ていうか、そこに”俺以外の男"とか言うなって。
兄貴が怖えーこと言うなよ。」



「でも、無理・・・・死にたい・・・。
晶が俺以外の男にそんなことをされる前に、俺死にたい・・・。」



「まあ・・・・・言いたいことは何となくは分かるけどな。
俺の場合は生徒ではあったけど妹ではなかったから、他の男にヤられる前に手ぇ出したし。
でもお前らの場合は兄妹だし、そこは兄貴として乗り越えなきゃいけないからな、しんどいよな。」



「本当の兄妹ではないけどね・・・。
本当の兄妹じゃないから余計、しんどい・・・死にたい・・・。」



「・・・・・・・あれ、お前の所って何かある家だっけ?親再婚?」



「違う。」



「・・・・・・・・ああ、連れ子同士で兄妹になった後に親が離婚したのか。」



「いや、全然。」



「・・・・・・・・・悪い、マジで分かんねー。
お前らどんな兄妹なんだっけ?」



「中学のバスケ部で出会って、お互いに兄妹だと思ってて・・・・それで・・・・・・・俺は・・・この前・・・・うん、それ。」



「はあ・・・・・・?
お前ら本当の兄妹じゃねーの!?」



驚いた声を上げた土屋先生が私の方を勢い良く見てきた。



それには、私はスコアシートに記入をしながら頷いた。



「マジかよ!?・・・・・・はあ!?
おい、お前ら!!こいつらが本当の兄妹じゃないって知ってたか!!!?
・・・・・・・お前知ってた!?お前も!?・・・・・お前知らなかったか!だよな、お前も知らなかったよな!?」



ベンチではバスケのことではない別な盛り上がりが始まってしまい、それには”え、今練習試合ですけど!!"と思ったけれど、男子って女子とは違って”ちょっとバカだな"とも思った。



「マジかよ・・・今年度イチの驚き・・・。」



まだ4月なのにそんな表現をした土屋先生には笑ってしまうと、土屋先生が私のことをマジマジと見てきた。



「本当の兄妹じゃないのにお前らこんなに似てるのな。
男女の違いは勿論あるとはいえ顔も髪型も、バスケも、性格は結構違うけどちょっと抜けてる所はあってな。
あの佐藤花音の弟と妹だし、それは抜けてるよなと思ってたけどまさかの本当の兄妹じゃねーっていう。」



楽しそうに笑った土屋先生が私と佐藤先輩のことを交互に見た。



「本当の兄妹じゃないのにこんなに仲が良いしシスコンとブラコンで、竜也なんて”俺以外の男"とか考えるくらいのやつで・・・そんな、ヤバいくらい・・・愛してる、やつで・・・・・・・」



言葉を切った土屋先生が佐藤先輩のことを見た。



足の間に項垂れている佐藤先輩のことをジッと見下ろして・・・



それからゆっくりとコートの中を見た。



そして・・・



「竜也。」



騒がしい体育館の中、土屋先生が佐藤先輩のことを呼ぶ声が不思議と静かに響いた。



「・・・・・・・・・・。」



何も言わない、何も動かない佐藤先輩に土屋先生が言う。



「さっき佐藤の”代わり"にコートに入った2年のガードの奴、今日めちゃくちゃ調子良いぞ。
見てみろよ。」



「・・・・・・・・・・。」



「あいつ、最近よく練習後に体育館に残ってる奴。
お前の真似ばっかり練習してるから、”お前が勝てる方法でかかってこいよ"って3on3してみたらすげー良い感じだった。
竜也とは全然違うけど、竜也とは全然違ってそれが良かった。」



「・・・・・・・・・。」



「あいつが言ってたよ、”竜也先輩の妹が努力するように言ってくれて良かった"って。
あいつも通学に結構時間が掛かる部員だから早く帰ってたけど、佐藤の言葉があいつの何かを変えたんだろうな。
お前の妹は良い子だな、顔もすげー可愛いじゃん。
女子の体育の時にチラッと聞こえた話しだと、佐藤って胸デカいらしいぞ。」



それには一気に顔が熱くなった。



そんな中で、土屋先生が続けてきた。



「竜也の"代わり"にガードやってる奴・・・。
俺が見たところ、あれは佐藤のことを女として結構気に入ってるぞ。」



「えっ・・・!?」



思わず声を上げてしまい土屋先生の方を見ると、土屋先生はコートの方を見続けたまま笑った。



「佐藤、そんなに顔赤くすんなよ。」



さっきの胸の話しで確かに顔は赤いだろうけど、私の顔を見ていない土屋先生がそう指摘をしてきた。



それから土屋先生は無言でコートの中を見ていく。



佐藤先輩は大きく項垂れたまま、やっぱりピクリとも動かない。



そうやって・・・



この1クォーターはそろそろ終わろうとしていた。



その、時・・・



「今、何分経ったと思う?」



土屋先生が突然そう聞いてきて・・・



「こうやって、あっという間に大人になるぞ。」



静かなのに深く響いてくる声で、そう言った。
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