佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら
初夏 日曜日
桜の木はすっかりと青くなり、今日も大会の試合前に楓からストレッチを手伝って貰う。
「よし・・・・っ、ありがとう、楓。」
いつものように私が楓にお礼を伝えてストレッチを終わりにしようとした。
そしたら・・・
「ごめん、もう少しやらせて?」
楓から初めてこんなことを言われた。
「うん、いいけど・・・。」
断る理由もないのでまたストレッチを続けていく。
ザワザワとしている待機部屋の中、楓がストレッチ中に珍しく話し掛けてきた。
「佐藤先輩、髪の毛切って格好良くなったよね。」
「あ、ね!そうだよね〜。」
「・・・・・・・・。」
「どうしたの・・・?」
「あの時も・・・こうやってちゃんと言えば良かったな・・・。」
「あの時って?」
「晶が膝の怪我をした時・・・。」
楓の口から私の膝の怪我のことが初めて出てきた。
これまで1回も、楓の口から私の膝の怪我のことが出てきたことはなかった。
それが"嬉しい”とも、"救われる”とも思いながら、プレーヤーを休んでいた時期も楓と一緒にいることが出来ていた。
そんな楓が凄く凄く苦しそうな声で・・・
「晶が膝の怪我をしたのは、私のせい・・・。」
そんな有り得ないことを、言ってきた。
「それは違うよ。」
「違う・・・っ、違うの、私・・・あの時・・・あの時、気付いてたの・・・。
いつもよりもストレッチの時間が短かったことに、私は気付いてた・・・。
晶がストレッチを終わろうした時、"えっ、もう終わりで良いの?”って思ったの・・・。
でも、気になりながらも私は何も言わなかった・・・何も言えなかった・・・。
本物にごめんなさい・・・。」
私の背中からは楓の泣いている声が聞こえる。
それを聞きながら、私は言った。
「よく気付いたね、私は全然気付かなかった。
いつもと同じ時間に感じてた。
楓はいつも私のことをよく見てくれていて、こんなストレッチもマネージャーの仕事とも違うのに付き合ってくれてる。
私がお願いをしたわけじゃないのに楓から付き合ってくれるようになったよね、ありがとう。」
私がお礼を伝えると楓はもっと泣き始めた。
そして・・・
「今まで言わなかったこと、言ってもいい・・・?」
そんなことを言い出して、それには緊張してくる。
凄く、緊張してくる・・・。
でも・・・
深く深呼吸をした後に、言った。
「いいよ。」
ドキドキとしながら楓からの言葉を待っていると・・・
「私・・・私も、晶のファンだったの・・・。」
そんな予想外で、正直どうでも良い、でも嬉しい言葉には大きく笑った。
「そうだったんだ!ありがとう!!」
「うん・・・私はベンチにも入れないバスケ部で、高校ではバスケ部に入るつもりなんてなくて。
でも、同じクラスに晶がいてめちゃくちゃテンションが上がって・・・。
絶対にマネージャーになりたいって、絶対に晶と・・・友達に、なりたいって思って・・・。」
「早く言ってよ〜!!」
「言ったら気持ち悪いって思われるかなって、言えなかった・・・。」
「気持ち悪いだなんて思うわけないじゃん。
友達からの言葉をそんな風に思うわけないよ。」
「うん・・・私もそうだよ・・・。
私も、晶からのどんな話でも・・・気持ち悪いとか、引くとか・・・ショックとか、受けないよ。」
それを聞き・・・
それを聞いて・・・
私は、自分から聞いた。
「慎也から何か聞いた・・・?」
「うん・・・、ごめん・・・でも、慎也ってそういうの黙っていられないタイプだから・・・。」
「知ってるよ・・・。
知ってる・・・、だから・・・私は慎也に言ったんだ・・・。」
「え・・・?」
「動物園デートの時に慎也が楓に絶対に言ってくれると思って、私は慎也に言ったの・・・。」
あの時のことを思い出すと少しだけ泣く。
「私の口からは楓に言えなかった・・・。
ずっと兄妹だと思っている友達に、私の口からは怖すぎてどうしても言えなかった・・・。
でも、私は誰かに聞いて欲しかった・・・っ楓に聞いて欲しいと思って・・・それで、慎也に言ったの。
慎也はほら・・・めっちゃ言いやすいじゃん?
自分のことを全部ペラペラ喋るから、こっちも話しやすいじゃん?」
慎也のそんな姿を思い出すと自然と笑ってしまった。
それは楓も同じだったようでクスクスと笑い出した。
「でも、慎也も一応バラす相手はちゃんと選んでるよ?」
「あ・・・!!
楓の彼氏のことを悪く言ったわけじゃないからね!?」
「まだ彼氏じゃないよ。」
「え、そうなの?
動物園デートで慎也が気持ちを伝えて、楓もそこから気持ちがめっちゃ動き出して、最近両想いになったよね?」
「うん、男嫌いの私が慎也のことを好きになったよ・・・。
中学の頃、勇気を出して気持ちを伝えた男子に私が告白したことをバラされて。
女子からも男子からも冷やかされたりお節介なことをされたりして、その男子からは"嬉しい、でも少し考えさせて”って言われたきりお互いに気まずくなって終わっちゃった。
卒業してから友達から聞いたのは、その男子の友達が私のことを好きだったんだって。
その友達に私からの告白のことを伝えたら、そんなことになっちゃったんだよって。
知らないよ・・・、そんなの、私は知らないよ・・・。
男子って本当に嫌い・・・。
女子も、結構嫌い・・・。」
「高1の時のクラスの女子達は笑ってたよね、その話を聞いて。
私はビックリしちゃって、"今のに笑える所あった?私がそんなことをされたら辛すぎて死んじゃう!”って言っちゃった。」
「うん、言ってくれた・・・。
だから晶には言えた・・・。
慎也と喋るのは楽しいって思えるかもって・・・。
慎也が好きになってくれたのは、嬉しいかもって・・・。
柏木じゃなくて慎也って、呼んでみたいなって・・・一緒に、呼んでって・・・。」
「デートの待ち合わせは恥ずかしいから、そこまでは一緒にいて〜って?」
桜の木はすっかりと青くなり、今日も大会の試合前に楓からストレッチを手伝って貰う。
「よし・・・・っ、ありがとう、楓。」
いつものように私が楓にお礼を伝えてストレッチを終わりにしようとした。
そしたら・・・
「ごめん、もう少しやらせて?」
楓から初めてこんなことを言われた。
「うん、いいけど・・・。」
断る理由もないのでまたストレッチを続けていく。
ザワザワとしている待機部屋の中、楓がストレッチ中に珍しく話し掛けてきた。
「佐藤先輩、髪の毛切って格好良くなったよね。」
「あ、ね!そうだよね〜。」
「・・・・・・・・。」
「どうしたの・・・?」
「あの時も・・・こうやってちゃんと言えば良かったな・・・。」
「あの時って?」
「晶が膝の怪我をした時・・・。」
楓の口から私の膝の怪我のことが初めて出てきた。
これまで1回も、楓の口から私の膝の怪我のことが出てきたことはなかった。
それが"嬉しい”とも、"救われる”とも思いながら、プレーヤーを休んでいた時期も楓と一緒にいることが出来ていた。
そんな楓が凄く凄く苦しそうな声で・・・
「晶が膝の怪我をしたのは、私のせい・・・。」
そんな有り得ないことを、言ってきた。
「それは違うよ。」
「違う・・・っ、違うの、私・・・あの時・・・あの時、気付いてたの・・・。
いつもよりもストレッチの時間が短かったことに、私は気付いてた・・・。
晶がストレッチを終わろうした時、"えっ、もう終わりで良いの?”って思ったの・・・。
でも、気になりながらも私は何も言わなかった・・・何も言えなかった・・・。
本物にごめんなさい・・・。」
私の背中からは楓の泣いている声が聞こえる。
それを聞きながら、私は言った。
「よく気付いたね、私は全然気付かなかった。
いつもと同じ時間に感じてた。
楓はいつも私のことをよく見てくれていて、こんなストレッチもマネージャーの仕事とも違うのに付き合ってくれてる。
私がお願いをしたわけじゃないのに楓から付き合ってくれるようになったよね、ありがとう。」
私がお礼を伝えると楓はもっと泣き始めた。
そして・・・
「今まで言わなかったこと、言ってもいい・・・?」
そんなことを言い出して、それには緊張してくる。
凄く、緊張してくる・・・。
でも・・・
深く深呼吸をした後に、言った。
「いいよ。」
ドキドキとしながら楓からの言葉を待っていると・・・
「私・・・私も、晶のファンだったの・・・。」
そんな予想外で、正直どうでも良い、でも嬉しい言葉には大きく笑った。
「そうだったんだ!ありがとう!!」
「うん・・・私はベンチにも入れないバスケ部で、高校ではバスケ部に入るつもりなんてなくて。
でも、同じクラスに晶がいてめちゃくちゃテンションが上がって・・・。
絶対にマネージャーになりたいって、絶対に晶と・・・友達に、なりたいって思って・・・。」
「早く言ってよ〜!!」
「言ったら気持ち悪いって思われるかなって、言えなかった・・・。」
「気持ち悪いだなんて思うわけないじゃん。
友達からの言葉をそんな風に思うわけないよ。」
「うん・・・私もそうだよ・・・。
私も、晶からのどんな話でも・・・気持ち悪いとか、引くとか・・・ショックとか、受けないよ。」
それを聞き・・・
それを聞いて・・・
私は、自分から聞いた。
「慎也から何か聞いた・・・?」
「うん・・・、ごめん・・・でも、慎也ってそういうの黙っていられないタイプだから・・・。」
「知ってるよ・・・。
知ってる・・・、だから・・・私は慎也に言ったんだ・・・。」
「え・・・?」
「動物園デートの時に慎也が楓に絶対に言ってくれると思って、私は慎也に言ったの・・・。」
あの時のことを思い出すと少しだけ泣く。
「私の口からは楓に言えなかった・・・。
ずっと兄妹だと思っている友達に、私の口からは怖すぎてどうしても言えなかった・・・。
でも、私は誰かに聞いて欲しかった・・・っ楓に聞いて欲しいと思って・・・それで、慎也に言ったの。
慎也はほら・・・めっちゃ言いやすいじゃん?
自分のことを全部ペラペラ喋るから、こっちも話しやすいじゃん?」
慎也のそんな姿を思い出すと自然と笑ってしまった。
それは楓も同じだったようでクスクスと笑い出した。
「でも、慎也も一応バラす相手はちゃんと選んでるよ?」
「あ・・・!!
楓の彼氏のことを悪く言ったわけじゃないからね!?」
「まだ彼氏じゃないよ。」
「え、そうなの?
動物園デートで慎也が気持ちを伝えて、楓もそこから気持ちがめっちゃ動き出して、最近両想いになったよね?」
「うん、男嫌いの私が慎也のことを好きになったよ・・・。
中学の頃、勇気を出して気持ちを伝えた男子に私が告白したことをバラされて。
女子からも男子からも冷やかされたりお節介なことをされたりして、その男子からは"嬉しい、でも少し考えさせて”って言われたきりお互いに気まずくなって終わっちゃった。
卒業してから友達から聞いたのは、その男子の友達が私のことを好きだったんだって。
その友達に私からの告白のことを伝えたら、そんなことになっちゃったんだよって。
知らないよ・・・、そんなの、私は知らないよ・・・。
男子って本当に嫌い・・・。
女子も、結構嫌い・・・。」
「高1の時のクラスの女子達は笑ってたよね、その話を聞いて。
私はビックリしちゃって、"今のに笑える所あった?私がそんなことをされたら辛すぎて死んじゃう!”って言っちゃった。」
「うん、言ってくれた・・・。
だから晶には言えた・・・。
慎也と喋るのは楽しいって思えるかもって・・・。
慎也が好きになってくれたのは、嬉しいかもって・・・。
柏木じゃなくて慎也って、呼んでみたいなって・・・一緒に、呼んでって・・・。」
「デートの待ち合わせは恥ずかしいから、そこまでは一緒にいて〜って?」