DEAR 2nd 〜Life〜
それは偶然と言えば偶然の出来事だった。
────…キュッ。
いつものように、何ら変わりなくドレスのファスナーを上げて、メイク直しをしていた時の事。
「いいねぇ、そういうのってさ♪出逢いとかありそうじゃん♪」
「そーお?じゃあ美月ちゃんも来たらいいじゃん♪」
───美月と華恋ちゃんがしていた、本当に何も当たり障りのない会話だった。
「なになに?美月ちゃん何に誘われてるのっ?合コンなら萌も行きたぁーいっ♪」
そこに萌が会話に参戦して、あたしは特に何も気にしないで営業メールを打とうとしていて。
「…ったくあんたは。
残念ながら合コンじゃないよ。
でも面白そうだから萌も行く?」
「行くーっ!!♪王子様と出逢える可能性は捨てられなぁーい!」
「……分かった分かった。愛美は?あんたも行く?」
「んー?どこにぃ?」
……合コンじゃなくとも却下かな。
────カチカチカチ…。
全く興味も湧かなくて、
ひたすら営業メールを打っているあたしに返ってきた答えは
「───T音大の学祭。」
────カシャンッ!
「…え?何どうしたの?」
────ドクンドクンドクン…
え……
う……そ───…
T音大って、確か……
「……何……で……」
どうして────…
心臓がバクバクと急速に動き始め、あたしはそう聞き返すのが精一杯だった。
「いや、華恋ちゃんが通ってる音大の学園祭があるみたいでね?
出逢いもあるかもしれないし、良かったらって誘われたんだよ。」
「───そうそ♪
うちの学祭、けっこう規模デカイし楽しいよ♪
良かったら愛美ちゃんもみんなとおいでよ♪」
「………」
──……う……そ…
華恋ちゃん、音大出身だったんだ…?
こんな……
こんな偶然ってあるの…?
「───ねぇ華恋ちゃん、あの──…っ」
「───キャー!!!!!
やばぁい!王子様いっぱぁーいっ!!!!!!」
興奮した萌が握りしめているのは
───────────
★ T音大 festival ★
───────────