DEAR 2nd 〜Life〜
「彩ぁぁ~!!!!♪♪
やぁーっとテスト終わったねぇっ!
ねっねっ、今からパァッとカラオケ行こうよっ!!」
「……うー、むっちゃくちゃ行きたい所だけど、今日は無理だぁ……。」
「えぇ~~~~っ!!!!!!
何で何で何でぇぇ!!!!!」
頭に岩石が落ちたぐらいショックを受けたナナは、勢いよく顔を上げる。
「……ナナさん。
残念ながら、ワタクシはこれからバイトなのだよ。」
「───バババババイトぉぉぉ!?!?!
いつの間に!?!?」
「んー、つい最近かなっ?
ナナと違って、あたしは色々と忙しーんだよっ。」
「そんなぁ~……」
「じゃねっ♪お先っ!」
「───ちょっ!…彩!!」
あたしはナナに手を振って、教室から素早く飛び出した。
────トントン……。
「……………」
階段を駆け降りながら、ナナを撒いたかチラリと確認する。
………どうやら、追っかけて来ないみたい。
「……危ない危ない…」
安心して背を向け、あたしは再びゆっくりと階段を降り出した。
───…数週間前。
『──彩ぁっ!!
ナナ受かったよーっ!!!!』
──…そう。
悲惨な成績を競い合っていたナナでさえも、見事に進路を決めた。
──…ナナが決めた道は
“美容師 ”。
オシャレ大好きなナナにとって、進みたい道がありすぎながら決断した進路。
夢にまで見た、美容師の専門学校。
幸い試験などもなく、面接だけで一発合格したナナだったけれど……。
────焦っていた。
身近なナナでさえも進路が決まり、ますます自分が置いてきぼりを食らったような気がして。