DEAR 2nd 〜Life〜
「……T音大までお願いします…」
「はいはい。」
タクシーの運転手さんに行き先を告げ、数分ずっと考えていた。
“頼むからもっと俺を頼って。
もう……
何も言われんと離れられるのだけは絶対に嫌や…”
…そう言ってくれた朝岡さんの事。
朝岡さんはきっとあたしが悩みを一人で抱える事に対して怒る、そんな人だから…。
朝岡さんは前にあたしの支えになりたいって言ってくれたよね?
だから……
ちゃんと話すよ。
そう言ってくれた朝岡さんの事、信じるよ。
優しいあなたの事だから、もしかしたら自分の事責めちゃうかもしれないね。
“受け止めてあげられない”って言われて離れられるかもしれない。
…───そしたらそこまで。
見返りも同情も一切求めない。
“だから一緒にいて”って自分勝手な想い、押し付けない。
それからどうしたいかは、あなたが決めてね。
あたしはただ話を聞いてくれればそれでいい。
それでいいよ───…
─────…カツン…
タクシーから降り、冬のアスファルトにヒールを鳴らせば
「───…T…大…」
─────…ギュッ
ここまで来たんだ。
頑張れ。
頑張れあたし。
───もう逃げない。
────…カツン
ヒール音を広い敷地内に響かせ、うろ覚えではあるがスタジオを目指す。
「…あれ…?
どこだったっけな…」
確かこっちだった気がするんだけど…
方向音痴に加え、記憶が曖昧。
マリアに電話して、教えてもらおうか…。
────カサッ…
自分の記憶力と方向音痴っぷりに半ば呆れ、バッグからケータイを取り出そうとした
────その時
────…♪
あ…
───────♪
この声
この音
「っ、」
朝岡さんだ……!