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あたしの目の前に佇むのは特に行きたかったわけでもないただの高等学校。いや、ただの高等学校ではない。
“○○国立SP高等専門学校”
その名の通り“SP(セキュリティ・ポリス)”を育てる専門学校。国内に警察学校や警護学校は複数校存在するけど、ここ○○国立SP高等専門学校へ入学するのは容易なことではない。家系、関係者の推薦、スカウト、この三択でしか入学することは不可能。国内のみならず、海外への出張も当たり前。ていうか、海外から要請が来るとか普通に考えたらヤバいよね。
まさに唯一無二、国内に1校しかない“特別な機関”と言っても過言ではない。ここ、略してS専は単純にSPを育てる学校ではなくて、元より秀でた人材しか入学を許されていない学校だから【学ぶ】というより【任務(実戦)】を積むことをメインとしてる学校。
学生ながら要人の身辺を守る任務に専従し、働きに見合った給料が支払われる。それはそれはもうビックリするような額を稼いでいる学生も中にはいる。で、S専は学校とはいえ学生だけが通う場所でもない。S専を本拠地として、警察庁公認の特殊本部が設置されている。
「にしても、いつ来ても物々しいなぁ」
ヘルプ(怪我人の処置)で何度か訪れたことがあるS専。ぶっちゃけ気が重くて心なしか足取りも重たい。
「はぁー。あたしの青春は怪我人の相手ってわけね?ツラすぎでしょ」
いや、正直言うとさぁ?S専に通わなくていいのなら、通いたくはないのよね。そりゃ普通の女子高生になりたいじゃん?こんな鬼畜な生業したいなって、心の底から思う人いる?いないよね?普通。それでも一応S専関係者の両親から産まれて、生まれつき特異体質はあたしは必然的にS専へ入学みたいな流れになるわけで。