その手で触れて、そして覚えて。

それから、わたしたちは帰り道の途中にあるスーパーに寄った。

「何作るんですか?」
「ナポリタンにしようと思ってるんだけど、食べれる?」
「はい、特に食べれないものはないんで。」

そう話しながら、材料をカゴに入れて行くと、途中で街風くんが「俺、持ちますよ。」とカゴを持ってくれた。

「あ、ありがとう。」
「何か、いいですね。2人で買い物って。恋人同士みたい。」

何だか嬉しそうにそう言う街風くん。

恋人同士、、、

また恥ずかしいことをサラッと言う。

「あー、えっと、あとはケチャップ!」

そう言って、わたしは照れ隠しをしながら買い物を進めていった。

買い物が終わると、材料が入ったレジ袋を街風くんが持ってくれた。

「大丈夫?重くない?」
「これくらい平気ですよ。」

買い物をして2人で帰る、、、

確かに、本当に恋人同士みたいだと思ってしまう自分に、何考えてるんだろう、わたし、、、と呆れてしまう。

わたしたちは、ただの上司と部下。

上司と部下、、、うん、ただの上司と部下!

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