その手で触れて、そして覚えて。
わたしの自宅マンションに着き、「どうぞ〜。」と言うと、街風くんはちょっと控えめに「お邪魔します。」と中へ入った。
「何か、今更なんですけど、、、」
「ん?」
「突然、お邪魔しちゃってすみません。七花主任の手料理食べたいなんて、ワガママまで言っちゃって、、、」
わたしはコートを脱ぎながら「あぁ、全然気にしないで?」と言うと、寝室にコートを掛けに行き、リビングに戻って来た。
わたしは街風くんから食材が入ったレジ袋を受け取ると、キッチンに向かい、手を洗ってから早速ナポリタンを作る準備を始めた。
「街風くん、座ってて?」
「いえ、俺も手伝います。」
そう言って街風くんはスーツの上着を脱ぎ、食卓テーブルの椅子に上着を掛けると、ワイシャツを腕まくりしてキッチンへとやって来た。
「じゃあ俺、玉ねぎ切りますね。」
「え、大丈夫?」
ちょっと不安ながらも街風くんの手元を見ていると、街風くんは手際良く玉ねぎを切り始めた。
「玉ねぎ切るの上手だね。」
「学生の時にレストランでバイトしてた事あるんで、これくらいは出来ます。」
「へぇ〜!」
その間にわたしはパスタを茹でていく。
街風くんは次々と他の野菜やウインナーを切ってくれていた。