その手で触れて、そして覚えて。

「レストランで働いてたんなら、わざわざわたしの手料理じゃなくても自分で作れるんじゃない?」

わたしが茹で終わったパスタと炒めた野菜を絡め、ケチャップで味付けしながら言うと、街風くんは「七花主任の味付けの料理が食べてみたくて。」と言った。

「わたしなんて、全然普通だよ〜。特に料理上手とかじゃないし。」
「七花主任が作るからいいんですよ。」

街風くんの言葉にドキッとするわたし。

すると、街風くんがハッとして「あ、すいません。俺、頭で考えるより言動が先に出ちゃうタイプで、、、ダメですよねぇ。」と苦笑いを浮かべて言った。

「ううん、それって素直ってことじゃない?逆にわたしは頭で考え過ぎちゃって、言動に出せないタイプ。だから、何考えてるか分かんないって、よく言われちゃうんだよね。」

わたしがそう言うと、街風くんは「七花主任は慎重派ってことですね。俺も七花主任を見習わなきゃなぁ〜。」と言った。

「そんなこと言ったら、わたしは街風くんを見習わなきゃだよ。さぁ、出来た!食べよっか!」

そして、お皿にナポリタンをよそい、食卓テーブルへと運ぶ。

「飲み物、烏龍茶でいい?」
「はい。」

飲み物を用意し、食べる準備が整う。

わたしたちは向かい合って座ると「いただきます。」と手を合わせて、夕食を食べ始めた。

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