その手で触れて、そして覚えて。
「今、乾燥機かけてるから!何か羽織る?寒くない?」
「俺は大丈夫です。それより、七花主任。ここ座ってください。」
ソファーに腰を掛けている街風くんは、自分の目の前を指差した。
「えっ?ここ?」
わたしは戸惑いながらも、街風くんの言われた通り、ソファーに足を開いて座る街風くんの目の前に座った。
え?これはどうゆう状況?
そう思っていると、街風くんが「ちょっと失礼しますね。」と言い、わたしの肩に触れた。
最初は何が起こったのかと驚いたが、街風くんはわたしの肩揉みを始めてくれたのだ。
「うわっ、やっぱり七花主任、肩凝ってますね。」
「やっぱりぃ?最近、頭痛することがあってさ。肩凝りのせいだとは思ってたんだぁ。それより街風くん、マッサージ上手だね。」
「うちの親父が整体師で、小さい頃から親父の真似事で母の肩を揉んでいたら、いつの間にか何と無く分かるようになってきて。」
街風くんは、凝っている箇所を的確に押してきて、力加減も丁度よく、それがまた心地よかった。
「街風くんって何でも出来るんだね。料理も出来るし、マッサージも上手だし。仕事の覚えも早いから、そろそろ一人で仕事任せようかと思ってるんだぁ。」
わたしがそう言うと、街風くんは「えっ。」と肩を揉む手を止めた。
「もう、一人でですか?俺はまだ、、、七花主任に教えてもらっていたかったんですけど、、、」
寂しそうな口調でそう言う街風くん。
街風くん、、、それは、どうゆう意味で言ってくれているの?
一人だと、まだ不安ってこと?
それとも、、、まだわたしと、、、って、そんなわけない!
違う違う!一人だと不安だって事だよね!
すると、フワッと街風くんのニオイが香ったと思えば、わたしはいつの間にか街風くんの腕の中に居た。
えっ?何?街風くん?