その手で触れて、そして覚えて。

ワイシャツのボタンを締め、スーツの上着を着ると、街風くんは「僕、帰りますね。さっきは、突然変なこと言っちゃって、七花主任に触れるような失礼なことまでしてしまって、、、申し訳ありませんでした。」と言い、頭を下げた。

「あ、ううん。気にしないで!街風くんのマッサージのおかげで、少し肩楽になったし!」

わたしがそう言うと、街風くんは「いや、そうじゃなくて、、、七花主任を、つい抱きしめてしまったので、、、」と俯き加減で言った。

それを思い出して、急に恥ずかしくなってくるわたし。

街風くんの腕の中、温かかった。

抱きしめられて、全然嫌じゃなかった。

わたし、何て言ってあげたらいいんだろう、、、

「七花主任に不快な思いをしてほしくない、とか言っておいて、不快な思いをさせてしまったのは俺でしたね。本当にすみませんでした。」

そう言う街風くんは、凄く切なげで耳を赤らめて言った。

「、、、嫌じゃなかったよ?」
「えっ?」
「街風くんに抱きしめられて、、、不快な思いなんてしなかったよ?むしろ、、、温かくて、心地よかった。」

わたしがそう言うと、街風くんは顔を上げ、目を見開いた。

そして、「良かった。」と嬉しそうに微笑んだのだ。

それから街風くんは「ナポリタンご馳走様でした。」と言ったあと、「また、、、来てもいいですか?」と訊いてきた。

わたしは照れながらも「うん、いいよ。」と答え、嬉しそうに「じゃあ、また来ます!」と言って帰って行く街風くんを見送った。

わたし、、、街風くんに言っちゃった。

温かくて、心地よかったって、言っちゃった、、、

本心だけど、思い返すと恥ずかしいこと言ってる!

明日、どんな顔をして会えばいいんだろう。

< 20 / 67 >

この作品をシェア

pagetop