契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
 気持ちを切り替えた茉莉花だったが、今日は運もタイミングもまだまだ悪かったようだ。

「え? 檜山さんの書類を……私が、ですか?」
「営業部の担当は今日休みだし、この書類今日中だから。悪いけどよろしく」

 茉莉花が課長に手渡されたのは、檜山の出張精算書類だ。
 修正が必要だから本人に依頼しなければならない。

(私の担当じゃないのに……しかも、よりによって檜山さんの分)

 茉莉花はため息をつきながら営業部へと向かった。



「檜山さん、申し訳ありませんが精算書類のご確認をお願いします。ここ、領収書と金額が違うと思うのですが……」

 営業部にやってきた茉莉花は、心を無にして檜山に話しかけた。
 檜山は茉莉花を見るなりニヤリと笑い、すぐにわざとらしく顔をしかめた。

「えぇ? そんなことのために営業部に来たの? そっちで修正出来るでしょ? それなのにわざわざ言いに来たんだ」

 檜山のよく通る声が、営業部のフロアに響く。
 皆がこちらをチラチラと見始めている。

 茉莉花は少し頭を下げた。

「ご本人しか修正出来ない決まりですので。今日中に修正していただけますか?」

 茉莉花の義務的な態度に、檜山はつまらなそうに小舌打ちをする。

「あーはいはい。分かりましました。まったく……経理の西原さんは仕事熱心ですねー。修正したら届けさせるんで、戻ってくれない? 仕事の邪魔だよ」
「……失礼しました」

 再び頭を下げて営業部を出る。ヒソヒソ声が耳に届くが、なるべく聞かないように足を早めた。



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